『世界』2021年8月号 no.947 北條勝貴「亡所考 連載第8回 <総動員>の夢の跡 農林省毛皮銃養殖所の成立と廃絶」

 

 『世界』6月号からはじまった連載「亡所考」における日本毛皮業夢の跡めぐり、今回が締めくくりとなります。興亜の理想に燃えた時代、カナダ由来で既に一定の水準に達していた養狐を追って、国産狸の養殖をこそ日本代表毛皮産業にしてしまおう、という「養狸ナショナリズム」とでもいうものが立ち上がっていたのだそうです。今や忘れ去られた養狸ナショナリズムの痕跡を追っています。ぜひお読みください。

 『世界』6月号で、2017年に網走で目撃された黒いキツネがキタキツネの突然変異かと騒がれる一方で、かつて養殖されていた銀黒狐が廃業時に放された、その子孫ではと考える人らがほとんど見られなかった、それほどに忘れられている日本の近代史の一コマ。この機会に記憶しておきたいです。