『世界』2024年4月号 後藤弘子「京アニ事件と甲府事件 ふたつの死刑判決が問うもの」

 

 

この一月に第一審で死刑判決が言い渡された「京アニ事件」と「甲府事件」。裁判の模様が大きく報道され続けた「京アニ事件」にくらべると、「甲府事件」は山梨日日新聞が公判を報道しただけであった。
 「甲府事件」の被告は犯行時19歳。2022年改正で特定少年制度が導入されたが、「甲府事件」の発生は2021年10月12日で、少年審判の途中で2022年改正法が施行となったため、起訴後の報道に関してのみ特定少年と扱われることになった。行為時に特定少年であった事件とは異なることに注意が必要だということ。
 そして「京アニ事件」「甲府事件」どちらも刑事責任能力の有無が裁判の争点となったが、「京アニ事件」の被告が大やけどの治療や大阪拘置所内でのサポートを受けたことで「感謝の念」が生まれたと語り、世の中や被害者への見方にも変化があったことがうかがえる一方で、「甲府事件」の被告である元少年は相変わらず心を閉ざしたままで、適切な治療や働きかけが届かないまま、本人の控訴取り下げで死刑が確定した。
 妄想性障害や複雑性PTSD(CPTSD)に関する科学的知見の進歩が、裁判所の判断に反映されないもどかしさを感じる、とのこと。

くわしくは『世界』4月号で読んでください。