- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2012/05/10
- メディア: 雑誌
- 購入: 1人 クリック: 11回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
(追記:Web版あった http://gekkan.bunshun.jp/articles/-/359)
木嶋被告が出廷する度に衣替えするのを“女優気取り”と揶揄した週刊誌もあったが、杉浦氏によればそういう記事はサンダルをミュールと書くなど歪曲されており、杉浦氏の目には手持ちの服を着回しているだけで、さして華美な様子ではなかったという。文藝春秋の読者の大勢はおじさんだろうから、ファッションやブランドにうとい人にもわかりやすいように説明してくれていて、私のようなかまやつ女にもありがたいレポートになっている。
唯一、ぜいたくを感じさせたのが、脚がすべすべで、永久脱毛していることをうかがわせるところだったそうだ。
また、その証言から、木嶋佳苗は不美人であることが男女問わず相手を安心させ警戒心を抱かせないことをわかっていた人のようだったとも書いている。
裁判での質問内容には、事件の事実を明らかにするという目的からずれた印象を与えるものも多く、女性に対する世間一般の通念、偏見を感じさせられる場面もあった。ここらへんは文藝春秋2012年6月号の本記事を読んでいただきたい。
裁判を傍聴した杉浦由美子は、木嶋佳苗についてこう記す。
今回の事件報道で「結局、女は男を金で選ぶのか」という指摘もあったが、少なくとも木嶋は金で男を選べなかった、ということだ。
(引用元:杉浦由美子「死刑法廷 木嶋佳苗 セックスと嘘と永久脱毛」文藝春秋2012年6月号)
これを読んで思い出すのは、野村沙知代。一時期週刊誌で若き日の行状が書かれたけれども、若いときの沙知代はやり手の美人で、次々と男を乗り換え、その果てに野村克也の妻の座におさまり、いまは安定したリッチな奥様となっている。
木嶋佳苗だって、年齢的にも先の安定を考えた場合、とりあえず婚活サイトで見つけたまじめでおとなしそうな男と結婚しておく、ということだってしようと思えばできただろう。しかし、それをしなかった。
野村沙知代みたいな上がりは、木嶋佳苗にとっては望ましくない上がりだったのだ。彼女の憧れは叶姉妹だったしね。
木嶋佳苗は何を望んでいたのか、裁判でもその後の手記でも、未だ明らかにされていない、木嶋にはそこを語ってもらいたい、杉浦氏は記事をそう締めくくっている。
というわけで、女性ライターによる木嶋裁判レポートとして杉浦由美子「死刑法廷 木嶋佳苗 セックスと嘘と永久脱毛」はお勧めですよ。
北原みのり『毒婦。』(朝日新聞出版)が、女性視点傍聴記としては代表格ですが、文藝春秋のバックナンバーも図書館では読みやすいと思われますので、杉浦由美子の記事も読んでみてください。
関連
- 作者: 北原みのり
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2012/04/27
- メディア: 単行本
- 購入: 7人 クリック: 195回
- この商品を含むブログ (38件) を見る