『世界』no.927 (2019 December)  特集2:難民を追いつめる日本

 

 

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ネット上で入管でのハンストのニュースをよく目にするようになりました。入管で何が起こっているのか、日本の難民対策はこれでいいのか、入管に収容されている人の人権は守られているのか。『世界』12月号にくわしいレポートが出ています。

以前にくらべて長期収容が常態化しているのには、オリンピックも関係しているとのこと。一部引用します。

2016年4月7日付で入国管理局長(現:入管庁長官)が全国の収容所長に、「2020年東京オリンピックまでに、不法滞在者等『日本に不安を与える外国人』の効率的な排除に積極的に取り組むこと」との通知を出す。さらに2018年2月28日には、「重度の傷病等を除き収容を継続すること」との指示を出している。これは、国が「社会に不安を与える外国人」を「無期収容」せよと命令したということだ。

(引用元:『世界』no.927 樫田秀樹「ルポ 人権非常事態」p183)

難民「仮放免」者座談会では、収容者に対する医療のひどさが訴えられています。例として運動時間に足を骨折したインド人が痛み止めも与えられずに三日間放置されたことが出ていて、読んでぞっとしました。私は腕を骨折したことがあって、手術を受けるのに一日待たなければならなかったのですが、鎮痛剤はもらえましたけれども、 時間を置いて飲まなければならず、ものすごく痛かったんですよ。手術室に入って麻酔がはじまったときやれやれと思いました。それを思い出して、足を骨折して三日も放置されるのはどんなだろうと。一方では、いつ出られるのかわからない不安から眠れなくなっている人には、医師の診断もなく神経安定剤や睡眠導入剤をどんどん出しているそうです。

収容所の医療がこれでは、人権問題視されるのもしかたがない。

入管問題の報道についてはこういうツイートもありました。

 あまり報道されず、一般人に認識されていない入管問題、『世界』の特集をまずは読んでみてくださいね。

 

はてな村殺人事件の裁判始まる

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あれから一年以上経ったんですね。はてな利用者でも「何それ?」な人はけっこういそうだよね。私も事件が起きるまで被害者加害者どちらも知らなかったりしてるんだけど、ブックマークのIDコールが絡んでいたり、はてな村殺人事件と呼ぶにふさわしい出来事に見えます。

かなえキッチンを擁していたクックパッドの闇に比べると、妙に白々とわかりやすい印象が、はてな的なのかもしれません。

寒川幹子と切り絵の仲間たち「令和を寿ぐ展」11月2日~11月6日 10:00-日没

丸亀市天満長のさんがわ呉服店1F「つきのこぎゃらりぃ」で開催中。

寒川幹子の切り絵は力強く動きのある描線と、繊細な色彩が魅力です。今回は、お寺や日本の神話の一場面、秋の紅葉の中バス停でバスを待つ少女など、すてきな切り絵が並んでいました。切り絵教室の生徒さんの作品も展示してあって、いなばの白兎など、いろいろ。どれもきれいで、すごいなと思いました。

つきのこぎゃらりぃへ行くと、お土産に必ず絵葉書を買います。丸亀城やかえる遍路など切り絵の絵葉書。親類にお中元のお礼状を出すときなどに使っています。電話やメールでもできますが、急がないお礼状などは絵葉書がいいですよ。

今年のつきのこぎゃらりぃ展は明日までです。

11月3日は「世界クラゲデー」

www.businessinsider.jp

「世界クラゲデー」なんてあるんだ、知らなかった。記事を読むと想像する以上に魅惑の世界が広がっていました。クラゲ、海で刺されたとか不快な記憶のある人も多いでしょうが、写真や動画によっては端的にきれいで見惚れてしまったり。神の創造力は人智をしれっと超えてしまうのよね、いつも。

再流行中の麻疹(はしか)は免疫システムをリセットする

www.afpbb.com

ハーバード大学(Harvard University)の研究者らが率いる国際チームは、はしかの予防接種を受けていないオランダの子ども77人を分析。はしかウイルスが体からこれまでにさらされた病原体に関する記憶を削除し、免疫記憶を実質的に消し去ることを明らかにした。
 はしかウイルスは、過去にかかった病気を「記憶」する血液中のタンパク質である抗体を11~73%消し去る。免疫力が新生児ほどにまで低下する子どももいた。
 共著者の一人で米ハワード・ヒューズ医学研究所(HHMI)のステファン・エレッジ(Stephen Elledge)氏は、「(はしか)ウイルスは私たちが理解していたよりもはるかに有害だ。ワクチンがいっそう有益なものとなる」と述べた。(c)AFP

世界的に再流行中、ということは、日本でも流行ってるのでしょうか。ワクチン、打つようになったのかな。この記事読むと打った方がいいみたいね。私が子供だった頃は、大体みんな小さい頃かかって、そして一回かかるともう大丈夫、みたいに言われてたんだけど(そしてじっさいそうだった、はしかになって免疫力が消えたなんてのはなかった筈)、なんかまた変わってきてるのかな? 
 

 

『世界』2019.11 (no.926) に、リクナビ事件の解説記事が

www3.nhk.or.jp

NHKのサイトにずっと関連記事が出ていますが、『世界』no.926にくわしい解説記事が出ています。

高木浩光「個人データ保護とは何だったのか」

一部引用

「個人情報」という法定用語が何を指すかへの誤解も後を絶たない。氏名、生年月日、性別、住所の四情報と連絡先情報(電話番号やメールアドレス)のみが個人情報であって、それ以外は個人情報ではないという誤解はまだまだ根深い。「リクナビDMPフォロー」の設計者、運営者らも、そのように誤解をしていたのではないか。

(引用元:『世界』 no.926 高木浩光「個人データ保護とは何だったのか」 p.64)

私もそのように誤解していましたね。それと、法律に疎いせいか、個人情報保護法というので、法解釈がいろいろあるというのも、この記事を読んで知りました。かえって混乱しましたね、記事では、このままではよくないので個人情報について誤解のないように定義を明確化するべきだと言われています。くわしくは『世界』を読んでね。

クッキーから、個人情報を欲しがっている企業にそれが知らされて、その個人の評価に影響するというのはこわいですし、就活生に限らずウェブを利用している者にとってはどこでどう自分もそういう評価をされているのかと疑心暗鬼になってくる話です。また、リクナビのような就活生ならば利用せざるを得ないサイトだと、クッキー取得やアンケートなど同意を求められる場面でことわれないというのも。

『世界』2019.6 no.921 の特集「日本型監視社会」にも関連してくる問題だと思いました。

 

 

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『世界』2019.11 no.926 師岡カリーマ・エルマーニ「人と本」

 

 

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エジプトやロシアで凶悪犯として収監された男たちが囚人となってから読書に目覚め、読書することで魂を救われ、本を心の拠り所として生き直す姿を見て、書物の力とそれによって変わり得る人間について語っています。くわしくは『世界』no.926を読んでみてください。

刑務所という俗世間から遮断された空間は僧院にも似て、勉強するには良い環境なのでしょう。日本の連続殺人犯吹上佐太郎も、小学校にもろくに通えず文盲に等しかったのですが、刑務所内で読み書きを習ってりっぱな辞世の句を書きました。

ひきこもりになっている人はチャンスなのかもしれないですよ。本を通して遠い世界にいる人と出会って、俗事に惑わされず勉強に打ち込める。そうして生まれ変わって外に出れば、外の世界の見え方がこれまでとはちがってくるでしょう。インターネットでNHK高校講座を視聴できます。ラジオ語学講座のストリーミングなどもありますので、活用してみてね。

付記
本は毒として作用する場合もあって、本を読まずにはいられない、本しかすがるものがないような時期にはまっている若い人が本の毒に当たると重篤になりがちです。それを乗り越えて実にかえるのが読書するということだ、と言われたりしますが、今はインターネットで他の人の本の感想を読んだりSNSで意見交換したりすることで解毒して、症状を緩和することができそうです。インターネットは弊害がいろいろ言われていますが、よい面もいっぱいありますよね。