バッキー事件についてのメモ

バッキー会長編 AVをダメにした侍たち

インディーズAVメーカー・バッキービジュアルプラニングは、02年に設立。国民的AV女優コンテストやAV男優塾を派手に開催したり、男優として現役暴力団員が登場したり、撮影で逮捕者が続出したり、今までのアダルトビデオの常識では考えられなかった動きをみせ、急激に知名度を広げている。作品も過激、異常、鬼畜と評判だが、バッキーと聞いてまず話題に持ち上がるのは、取締役会長・栗山龍のことである。この人は、凄い。ホームページのプロフィールを見てみよう。
【栗山龍 バッキービジュアルプランニング取締役会長 日本有数の大金持ち。日本テレビマネーの虎」の虎たち(金持ち社長として出演していたインパクトある二人が、借金の懇願に来たことは一部では有名な逸話。誰もが知る有名企業の実質的な統率者でもある】

――下火な業界に、どうして参入しようと思ったんですか。
栗山 趣味で始めた。バッキークラブって乱交サークルやってて、それが発展した形だね。最初は何億もかけて会社やるつもりはなかったの。元々、SM好きで、ビデオを視ても面白くないわけで。じゃあちょっと満足のいくビデオを撮ってみるかって、飲み屋の冗談話からですよ。制作にしたって、五百万も出せばいい女を雇って出来るでしょと。一千万も出せば時代に残るSMビデオができるだろうって、冗談半分の趣味で始めて、何本かやっていくうちにナンバーワンを目指したいね、みたいなキモチになってね。中途半端に一本撮って終わるより、アダルトビデオの頂点を極めようということで会社にしたわけ。だから、金儲けとしては考えてないですよね。

東京新聞:暴力事件で波紋 AV規制 強化すべきか(googleのキャッシュ)

 事件の概要はこうだ。昨年六月、ビデオ制作会社「バッキービジュアルプランニング」(東京都港区、栗山龍代表)の撮影で、出演した女性が複数の男性から繰り返し暴行を受けたあげく、直腸に穴があくなど全治四カ月の重傷を負った。女性が被害届を提出し、警視庁池袋署は八人を強制わいせつ致傷容疑で逮捕。しかし、七人は処分保留で釈放された。

  • 「演出抜き」の暴行シーンを売り物にしていた
  • 確信犯、常習

(バッキーは解散、現在はコレクターという会社でバッキー作品を扱っている。 参考:Defense Detect Discavery)

AVライターの大坪ケムタ氏は「レンタル用ではなく、販売が主目的の“セルビデオ”の需要者は日本で約十万人。鬼畜系の愛好者はその中のおそらく二千−三千人ぐらい」と話す。

弁護士 落合洋司 (東京弁護士会) の 「日々是好日」:暴力事件で波紋 AV規制 強化すべきか

難しい問題ではありますが、上記のような撮影行為の違法性と、表現に対する規制は、分けて論じる必要があるのではないかと思います。

ネオ・リベラリズムと性暴力 浅野千恵

かつて問題になったバクシーシ山下の作品を擁護した宮台真司の発言を批判している。
「レイプビデオ」については、自らが男性であるという特性に無自覚なままでの性的自由の擁護は、女性に対しての性暴力を容認するものになり、AVモデルという立場では撮影現場での被害を訴えにくく、問題が隠蔽されがちになる。

上野千鶴子を読む (4)「発情装置 エロスのシナリオ」(筑摩書房)「ナショナリズムとジェンダー」(青土社)吉川潤一

男性にとって、ポルノを商品として消費するということはどういうことなのか。また、商品として売られるポルノとはどんなものなのか。

バクシーシは、撮影する手法が「天才的」だとポルノグラフィ界やサブカルチャー界でもてはやされている。今でもその筋では売れっ子らしい。私には、撮影手法なんて判ったものじゃないけど、彼の写すものは良かれ悪しかれ、ポルノグラフィの撮影現場の裏表すべてを映し出していると思う。バクシーシは、撮影の裏までをも見せることで、出演女性の品格をおとしめ、「この女性ならレイプされても」と見ている者を思わせることに成功した。と同時にポルノグラフィの現場とは、このような差別と暴力装置で防衛されていることを、その「撮影手法」が証明しているのだ。「契約書」へのサインから「ちゃんとやることやれ」、「お前わかってきてるんだろ」という恫喝や暴力は、出演女性の置かれる状況をとらえたものだ。私たちは、その裏側をポルノグラフィの中で見ていなかったことになる。

その他

melma!blog ESPIO: 鬼畜拷問レイプ集団を追跡せよ

2005年1月後期に関連記事が並ぶ。ESPIOにも関連記事:バッキー被害女性「本人」と面談

bakky裁判のはなし

2chの某スレに不定期掲載されている裁判傍聴レポートが読める。
制作チームが「水地獄」で起訴、「強制子宮破壊14」「同13」で追起訴。

実物日記 04/11/19

『鬼畜祭り 〜遺作ホンハイエ〜 LOFT/PLUS ONE』のレポートなのだが、鬼畜AVとして、バクシーシ山下の作品とバッキーの「強制子宮破壊12」が上映され、司会者がリアルはダメダメと繰り返し「ゲームにしとけ」とまとめたそうで…

付記

自分ではAVをお金出して借りて見たりしないからな、と、「関係ない」ですませたいところだが、これでも昔は映画オタになりかかった過去のある身。映像表現を楽しむというのは視姦に淫することでもある。一時期はホラーやモンドにはまったこともあるしな。もやもやといろんなことを思い出す、ちょっと気になるバッキー事件なのでした。