ブラック・ダリア

DVDで鑑賞。
猟奇殺人事件を捜査する刑事が魅力的な女性に出会う。
刑事バッキー(ジョシュ・ハートネット)は、よき同僚であるリーの同棲相手ケイ(スカーレット・ヨハンソン)が気になりだしていた。ある日、女性の惨殺死体が発見される。被害者はブラック・ダリアとあだ名された映画女優志願者だった。バッキーは被害者について聞き込み捜査の最中に魅力的な一人の女性に出会う。その女性は髪型や服装がブラック・ダリアを連想させた。……
1947年のロサンゼルスを舞台にしたハードボイルドミステリー映画。
封切り時に劇場で観たときは、ブライアン・デ・パルマ監督の名人芸を堪能できた満足感と、その一方で謎解きがいまいちな気がしたのとが合わさって、なんだろう、でも長年デ・パルマ作品を観つづけていたファンとしては、セルフ・パロディも余裕で楽しませてくれるのがうれしかったなあ、と。
久しぶりに観直してみると、初見のときの印象よりずっとよかった。どうも、前は実際の「ブラック・ダリア事件」を劇中で無理やり謎解きしてあることに、私の方が過剰にこだわってしまっていたようだ。現実の事件をヒントにして、この映画の世界の中でブラック・ダリアが殺された事件が起き、その劇中犯罪の謎解きのおはなしだとして見れば、ミステリーとしてもよくできているといっていい。
この映画の主人公は探偵ではなく刑事なのだが、彼のモノローグではじまる物語はハードボイルドの世界。しかし、主人公は感じやすい面を持つふつうの男性となっている。そのせいか、昔のハードボイルドものにくらべると、臭みはマイルドなのでは。
SFほどではないでしょうが、ハードボイルドもけっこう人によって好き嫌いがわかれるジャンルですよね。だから、ハードボイルドが好きだという人にはお勧めしたい、ブライアン・デ・パルマ作品です。