迎賓館・横田裁判

まずasahi.comより。

起訴から20年の裁判、再び一審へ ロケット弾発射事件

2007年10月18日16時45分

 87年11月の起訴からほぼ20年たっても最高裁で審理が続いていた刑事裁判で、改めて一審の審理が始まることになった。中核派が米軍横田基地や迎賓館に向けてロケット弾を発射したとされる86年の事件。一審だけで15年余かかったにもかかわらず、「審理が不十分」との理由で再び一審に戻るという異例の展開をたどる。

 爆発物取締罰則違反の罪に問われているのは須賀武敏(63)、十亀弘史(63)、板垣宏(64)の3被告。88年9月に東京地裁で始まった公判では全員が否認し、犯行と直接結びつく証拠がなかったため検察側の立証が長期化した。

 04年3月に地裁は「3人がロケット弾製造にかかわった証拠がなく、実行犯との共謀の証明もない」として全員を無罪に。これに対し、二審・東京高裁は06年5月、「製造に関与し、実行犯と共謀したと推認できる」「一審は調べるべき証拠を調べていない」と指摘し、無罪判決を破棄して審理を地裁に差し戻した。

 最高裁第一小法廷(泉徳治裁判長)は「二審の判断に誤りはない」として16日付の決定で被告側の上告を棄却した。二審判決が確定することから、今後、地裁で差し戻し後の一審が始まる。

 最高裁によると、把握できている限り、被告が「超法規的措置」で釈放されて審理が中断したケースを除くと、3人より前に起訴されて現在も審理が続いている事件は見当たらないという。3人は02年12月に保釈が認められている。

http://www.asahi.com/national/update/1018/TKY200710180276.html

この事件のこと、前にもどこかで読んだことあるなと思ったのですが、いわゆる横田・迎賓館爆取事件などと呼ばれているもののことですね。で、ぐぐってたらこんなサイトが出てきました。
無罪!迎賓館・横田裁判の完全無罪をかちとる会
この事件のこと何で見たんだろうと思い出してみると、『インパクション』155(isbn:4755471613)に載っていた、宮本弘典「「安心・安全」に抗して 私たちの社会に共謀罪も反テロ法もいらない」の中に出てくるのですね。日本の刑事司法の問題点とされる「人質司法」の例として。
「無実の政治犯にたいする予防拘禁」(参照)といわれると、とくに政治的な活動をしていないものにとっては縁遠いかんじもしますけれど、「人質司法」は、一般人にとっても実感しやすい恐怖ではないでしょうか。わけのわからない理由で逮捕され自白を強要された事件についてはいろいろ報道されています。

宮本弘典「「安心・安全」に抗して」では、共謀罪については国際協調のために成立させなければならないと言う一方で、日本の刑事司法が国際的に孤立していると見られている問題点である「密室司法」や「人質司法」については国際基準などどうでもいいというのが、わが国の態度だと指摘しています。

武装化や国内治安管理の強化についてはグローバル化を論拠としつつ、自由や権利の実現に向けた制度改革の国際基準・グローバル基準には背を向ける。これがわが国の国際協調・グローバル化の論理と倫理と心理なのです。
(引用元:宮本弘典「「安心・安全」に抗して 私たちの社会に共謀罪も反テロ法もいらない」『インパクション』155)

共謀罪、鳩山法務大臣は成立に強い意欲を示しているとか。
臨時国会に向けて - 法と常識の狭間で考えよう
また、迎賓館・横田裁判は「一審だけで15年余かかった」そうですが、裁判員制度導入にともなって裁判の迅速化が必要とされていますよね。そうなると、15年もかけて裁判なんてやってられない、ということで、早々に判決が出るようになるんでしょうね。そのへんの負の側面についても宮本弘典「「安心・安全」に抗して」では触れられていました。
裁判のことなんかよくわからないし、と、ぼんやりしているうちに大変なことになってきているようで、鬱だ。