鳩山法相はガチ

夕方のニュースで見たのだが、鳩山法相がまた講演で、ヨーロッパで逮捕されたアルカイダのメンバーが日本に偽装パスポートを用いて数回入国していたなどと発言したという。そのテロリストかもしれない人物が日本に滞在中にどの地域に足を運んだかまで、えらい具体的に数字をだして話したということだ。
入国審査で指紋採取と顔写真の撮影を義務付けることになった改正入管難民法の正当性を訴えたかったのだろうと思う。
この、最近ネット上で静かなブームとなっている鳩山邦夫、いや、ネット上でというよりは、私が個人的に最近“邦夫萌え”気分になっているだけなのだが、笑ってしまうだけではすまないもやもやとした思いが私の“邦夫萌え”にはある。
鳩山法相は、大真面目に日本の治安維持に取り組もうとしているのだ。治安維持のためにすることは入国する外国人のチェックだけではない。国内でも治安を保つためには監視を強める必要がある。犯罪者への厳罰化もその一環だろう。死刑についても、問題発言をしているが、死刑廃止論者と面談した際にも、自分は法相として粛々と刑を執行するつもりであると述べている。
あまりにも大胆不敵なぼくはアルカイダの友だちの友だち発言によって、つい鳩山法相だけを異常物件視しがちだが、治安維持の強化を望む気持ちとなると、あそこまで大胆不敵にはなれない一般人も、鳩山法相と通じ合う部分を内包している人がけっこういるのではないだろうか。
医療観察法の成立、ビラ配りで逮捕された人たちへの冷たい視線、厳罰化を望む声、殺人犯への死刑嘆願署名運動等々、ここへきて人々があらわにしはじめた情動は、治安維持の名の下に統合されて政治的な勢力と化していくのではないか。
鳩山邦夫。あのキャラは何かを覆い隠すために神が与えた着ぐるみなのかもしれない……
そんなことを考えはじめると、ナチス焚書について語った文章の中での池内紀によるこんな言葉を思い出したりするよ。
「これみよがしの愚かさは、ほどのいい知恵よりも何倍か賢い。」(C)池内紀
四国新聞より。

法相が指紋システムを視察/「テロ防ぐため我慢を」
2007/11/19 12:46
16歳以上の外国人を対象に、入国審査で指紋採取と顔写真の撮影を義務付ける改正入管難民法が20日施行されるのを前に、鳩山邦夫法相が19日、成田空港を訪れ新システムを視察した。
鳩山法相は、テロリスト摘発や不法滞在者の取り締まり強化に「絶大な効果を発揮できる」と記者団に発言。指紋採取は人権侵害とする市民団体などの指摘に対し「テロを防ぐという大きな目標のために我慢してほしい。個人情報がそれ以外の目的に使われないように徹底的に保護する」と理解を求めた。
鳩山法相は、第1旅客ターミナルの入国審査が行われる「上陸審査場」で、指紋や顔を読み取る端末機に自らの人さし指をかざし、担当者から説明を受けた。

四国新聞社