千葉法相

千葉法相について印象に残っているのは、死刑執行を報告したときの、普段と変わらない落ち着いた理性的な表情だ。
鳩山邦夫が法相だったときは、テレビで国会が映った時、そこにいる邦夫の顔がいつもと雰囲気がちがってて、何かあったのか? と訝しく思ったら、その次の日死刑執行があったりした。処刑報告をするときの表情も、普段とは変わってしまっていて、異様さを感じさせた。さすがに死刑執行となると、精神的に重くのしかかるものがあるんだろうなと邦夫の顔を見て思った。
千葉法相のほうが、そのあたりは理が勝っていたのかもしれない。
死刑については、私はまだ「廃止しろ!」とは言えないでいる。だから、死刑存置論者になってしまうわけだが、冤罪の問題がついてまわる以上、死刑はしないほうがいいのかなとも考えたりはする。しかし、終身刑をつくればいいというのには、違和感があるんだよな。この件に関しては、本を読んだりして勉強しないとまだなんともいえない、というところか。
千葉氏は、死刑に反対する立場をはっきりさせていたから、まさか法相になって死刑執行するとは思っていなかった。
死刑に立ち会ったり、死刑場を公開したり、死刑についての論議を活発化させていきたいとのことだが、国民の意識を高めたいという気持ちはわかるにしても、その一方で、このままだと死刑執行生中継も近いのではないかという恐れも感じた。生中継がどのように消費されるのか、それはたぶん人権派の感覚だけでは計れないだろう。
人権派として知られていただけに、期待した人も多く、そのぶん期待を裏切られたという声も大きくなるわけだが、たとえば何故死刑執行に踏み切ったのかなど、くわしく書いてもらえれば、後々のためになるのではないだろうか。