こんぴら歌舞伎

午前の部を観に行ってきました。
双蝶々曲輪日記では、尾上松也が山崎屋与五郎と放駒長吉の二役。濡髪長五郎は片岡市蔵。どちらも役にはまっていて観ていてわかりやすい。濡髪長五郎はメタル系の美意識できめており、なよなよした若旦那山崎屋与五郎がきゃーきゃーいうのがかわいらしい。放駒長吉もいかにも純真な若い子で、明るい紫色とかポップな衣装がよく似合う。
太刀盗人は、すっぱの九朗兵衛をやった市川男女蔵が異様にはまっていて得意な役なのかなと思っていたら、プログラムを読んでみると初役だったそうです。すっぱの衣装はちょっとアレンジすると街でも着られそうなかんじ。
暫は市川海老蔵。舞台正面の真ん中くらいの席にいて、金丸座は昔の小屋ですから小さくて花道をやってくる役者がよく見えるのですが、海老蔵のしばらく、すごい迫力。顔立ちに化粧がよく映えるし、あの衣装、誰が考えたのかと思う。江戸時代の歌舞伎界はハリウッドよりぶっとんでいたのではないだろうか。海老蔵は大奮闘大サービスぶりで、しばらくをやってくれました。
他の登場人物の扮装もそれみているだけで楽しいのだが、片岡市蔵扮する清原武衡、ちょうど舞台の中心で全体を引き締める位置に座ってるのだけど、ゴスなメイクでにんまりした閻魔さまのような顔で頭頂部にゴージャスだけどとっぽい冠をのせているのが陽性のキモさですばらしい。ラストで開いた口が異様に真っ赤なのもホラーでよい。市川右之助は声といいほんとに女の人みたいですね。
海老蔵は声がよく通るようになっていた。年がまだ若いし、言動も無防備すぎるのではと思うときがあるが、しばらくのような役はああいうおおらかな人がやるから嫌味がなくていいのだなと思った。無防備すぎるといったが年々役者としての自覚が出てきたのも見えるので、これからが楽しみ。
客席には舞妓さんの姿も見え、いかにも芝居見物してるという気分になれてほんと得した気分。
午前、午後と観た歌舞伎にくわしい人の話では、今年の海老蔵は、座長としての自覚を持って自分が全体を引っ張っていこうという意気込みが伝わってきて非常によかったといっていました。
第二十四回 四国こんぴら歌舞伎大芝居