クローバーフィールド/HAKAISHA

謎の巨大生物襲来で戦地と化したニューヨークを舞台にしたパニック映画。
監督:マット・リーブス;脚本:ドリュー・ゴダード;製作:J・J・エイブラムス、ブライアン・バーク;
ニューヨークの高級アパート。日本への転属が決まったロブのためにサプライズ・パーティが開かれている。一人はビデオカメラで友人たちのロブへのメッセージを記録中。そのとき、突然大きな揺れが。アパートは停電、外を見れば他のビルでも停電が起きているのが見える。テレビでは今ニューヨークが原因不明の大きな揺れに襲われたとの臨時ニュースが。そして街には「人類の敵」を殲滅せんと軍隊が入り込んでくる。パーティに集まっていた若者たちは、まるで戦場となったかのような街から脱出しようとするのだが。
全編、パーティでビデオを録る係になっていた男が、脱出する間もずっと手持ちのカメラで撮っていた映像。それを私たちが後日観る、という趣向。手振れ不鮮明が臨場感を高める。
ニューヨークの高層ビルが倒壊し粉塵が街路に吹き出てくる様子は、911テロの光景を連想させるが、夜空に爆発したビルから火炎が飛び散る光景は、空爆されたイラクアフガニスタンを遠くからとらえた映像を連想させる。
一般市民にとっては状況把握不能なまま、生き残りをかけて戦場から脱出しなければならなくなるというのは、戦争時の光景としてありがちなのかもしれない。
ドキドキを体感するタイプのパニック映画なので、映画館で観た方がぜったいに楽しめる作品だと思うが、オグリッシュ風味のオバケ屋敷の中を行くような気分になるので、グロいのが苦手な人にはお薦めできない。
いろいろ感想もあるけれども、ここではハリウッド娯楽映画の、過去の作品から学び取りそれを活かす力がいかにすごいかということにまず感動したことを書いておきたい。過去の作品には、日本のマンガやアニメも含まれていそうだ。
日本のマンガもすごいと思うんだけど、映画にしてしまった方が外国でも観られやすいだろうな。
ハリウッドは過去の作品からは技法を学ぶわけだけど、事件や現実をどんどんネタにして作品化してしまう貪欲さというのはあきれるほど凄い。しかも冷徹な商魂に支えられているせいか醒めた熱狂を感じる。