新防衛大綱への自民党提言案

本日の四国新聞の第一面には新防衛大綱への自民党提言についての記事が出ていました。自民党提言案のポイントは次の通り。
新防衛大綱自民提言案のポイント - 四国新聞社
再び戦争の出来る国へとやる気満々、みたいな提言案 orz
このところ、自衛隊が海外でも活動できるようにしろ、もう改憲してしまえ、といってくるのは、アメリカ(アーミテージ報告)、そして日本の財界ですよね(経団連)。
アメリカは自衛隊を米軍の一部に組み込んで使えるようにしてしまいたいらしい。そして、日本の大企業はというと、海外での権益擁護のために改憲が必要と考えているようだ。

企業経営者が個人の資格で加盟し結成されている経済同友会は、03年4月に、第9条を含めた日本国憲法の包括的な見直しを求める提言を発表している。提言をまとめた高坂節三・経済同友会憲法問題調査会会長(栗田工業顧問、元伊藤忠商事常務)は、また朝日新聞の取材に応じて、こう語ったのだった。<――アジア諸国は9条改憲を警戒している。湾岸戦争の時点で日本は軍事貢献すべきだったと?
 憲法の制約で自衛隊を出せない、と言っていたが、戦闘に参加しなくても、補欠でもいいからベンチに入っていたら、米国などと共同意識が持てた。国連平和維持活動(PKO)法ができて自衛隊を海外派遣できるようになったのはその後だ(中略)
――日本企業の海外での権益擁護のために、日本も世界の警察官として顔を出す必要があると?
 そういうこともある。グローバル化とは、日本の資本や人材が世界中に広がっていくこと。これを守るためには、何らかの方策が必要だ。だから米国と提携するのだが、ここだけは自分がやる、というところがないと、いざというときも言いたいことが言えない。>(03年5月27日付)
日本企業が進出している諸国には、アメリカ企業が一足も二足も先に乗り込んでいるのが常である。ここにおいて日本の戦争志向は、属国であるゆえにというだけでなく、たまたまアメリカと利害関係を共有しているから、と言えなくもなくなってきた。今に始まった理屈ではない。さかのぼれば97年に、「読売新聞安保研究会」が出版した『日本は安全か――「極東有事」を検証する』(廣済堂出版)にも、やはり経済同友会牛尾治朗・代表幹事(当時)の、次のようなコメントが残されていた。<国際秩序ということになると、米国の場合、海外進出企業が地域紛争に巻き込まれても、空母を派遣すれば安泰かもしれない。しかし、日本の場合、現状のままだと、個別企業が天に祈るしかない。特にアジア地域が問題だ。>
(引用元:斎藤貴男『不屈のために』ちくま文庫

斎藤貴男はいろいろ調べてみて、北朝鮮の脅威などを強調して「備えあれば憂いなし」という理由で戦争ができるよう法制を整えようとしているけれども、ほんとうのところは多国籍企業の利益を守るためというのが最大の優先課題なのではないか、と述べている。
自衛隊の海外派遣といえば、ソマリア沖海賊対策についてのニュースも、新聞にはよく載るのだけれど、テレビのニュースでは大きく取り上げられないままになっている印象がある。
ソマリア派遣で陸自が結成式/P3C警護の部隊 - 四国新聞社
上の記事によれば、中央即応集団(司令部・陸自朝霞駐屯地)の中核・中央即応連隊の初の海外実任務となる、とのこと。

07年3月28日、陸上自衛隊中央即応集団が創設されました。この部隊は、自衛隊初の海外派兵専門部隊です。隷下には、唯一の自衛隊特殊部隊・特殊作戦群、自衛隊唯一のパラシュート降下部隊・第一空挺団(いずれも千葉県習志野基地)、中央即応連隊(宇都宮市)などが配備されています。真っ黒な表紙の中央即応集団のパンフレットは、「司令官(三つの桜)の下、日の丸を背負い、全世界規模で活躍するCRF(中央即応集団)を表している」と表記しています。つまり、「日本防衛」ではなく、「世界規模で活躍する」自衛隊への変貌です。
(引用元:小泉親司「軍事・外交、経済の大本から「日米同盟」を問う」『前衛』2009年5月号)

テレビでは田母神が悪目立ちして、それがなんかバカすぎるのでついスルーしてしまってたりするけれども、ひたひたと、着々と、戦争が出来る国への準備が進んでいるようなのだ。
新聞には小さい記事であっても報道は続いているのだけれど、テレビのニュースでたとえばソマリア沖派遣について大きく取り上げられているのを見た記憶はないし、あまり話題にならないまま、どんどんいろんなことが決められていっているみたいで欝だ。
次の選挙、最重要課題は経済政策になってしまうだろうけれど、憲法自衛隊のことも争点として大きく取り上げてもらいたい。