思想・信条侵害

論文問題 大臣指示で防衛監察 6空団など「思想・信条侵害」恐れ - MSN産経ニュース
アパ論文に上官の指示により多数自衛官が応募していたことが発覚したことで(Yahoo!ニュース)、内情を調べることになったのだろう。
田母神アパ論文は、右派雑誌の常連寄稿者も「わたしはあんなんとはちがいます!」と言い出す迷いなきぶっとびようで、その確信犯ぶりには妙な感動すら覚えました。田母神ひとりが勝手にぶっとんでるだけなら、田母神はつくる会テッド・ニュージェントになりたいのね、で終われたかもしれない。
しかし、つくる会シンパも擁護をためらう真性陰謀論を部下に吹き込むとは非道極まる行いです。「思想・信条侵害」の恐れ以前に、史実とはされていないことを真実と思い込んでいる自衛官がいるというのなら、まちがいを正す必要があるでしょう。どうしても伝奇ロマンに浸っていたい、というのなら、自衛隊を辞めて私人の趣味として楽しんでいただきたいものです。
ところで、自衛隊からの集団投稿というのを聞いて思い出したのが、大塚英志護憲派の語る「改憲」論』(角川oneテーマ21)。
「ぼくがこの本で主張することはたった一点です。「考えなし」の憲法改正はやめよう、ということです。」ではじまるこの本は、なんとなく改憲したほうがいいのではないかなどという気分だけで憲法を変える前に、まず憲法を読み内容を知り、憲法を使い倒してみる、そして自分たちの憲法を作りたいと本当に願うのなら、自分たちのことばで憲法前文を書いてはどうか、自ら「公論」を作れるようちゃんと勉強していこうと提言し、実践として大塚氏は憲法前文を募集する企画も立て、投稿された中から選出した前文をまとめて出版するということもしており、この本でも2007年度投稿分から一部紹介してくれているのですが、投稿紹介の前にこのように書かれているのです。

今年の「中高生の書く憲法前文」は、投稿が激減しています。この企画を支えてきた現場の先生たちのクラス単位、学年単位での集団投稿が、極端に減ったことが大きいのです。今回の応募は、「国を愛する心」を折り込んだ教育基本法の「改正」の中でなされ、また、国民投票法案が教育現場での「憲法」についての政治的発言を禁じようとした流れも影響しています。おそらく、それらが教育現場でのこのような試みを難しくしていることがひしひしと伝わってきます。
(引用元:大塚英志護憲派の語る「改憲」論』角川oneテーマ21

田母神はオレが憲法について発言するのも「言論の自由」があるから問題なしのはずだと国会で吠えていましたが、中学校や高等学校では憲法について語ること自体が禁じられようとしている模様なのです。
これに関連して思い出されるのは、「箱根町九条の会」が町施設を借りるのにグループ名を名乗れなくなっているという報道です。町教育委員会に「九条堅持に偏って主張することは避けること」などと条件を付けられたため、とのこと。
箱根町では「九条の会」と名乗れない? - 一人でお茶を
九条堅持を主張するのも、思想・信条・言論の自由で守られているはずなのですが、田母神はこの件についてはどのようなご感想をお持ちになるのでしょうか。ぜひうかがってみたいものです。

追記

箱根町の件ではこちらにくわしい記事が。
箱根町が護憲団体を認めないって・・・ - tamyレポート
コメント欄によれば、「神奈川県を代表する藤沢市も市民センターや市民の家を借りるとき「9条の会」では借りる事ができません」!