ウォーター・ホース

DVDで鑑賞。
ネス湖に棲む伝説の生き物 "ウォーター・ホース" を少年が救う。
第二次大戦下のスコットランド。優しかった父親がいなくなった家で、アンガス少年は元気を失っていた。母親や姉はそんなアンガスのことを心配していた。
ある日、ネス湖に遊びに行ったアンガスは、不思議な楕円形のものを見つけて家に持ち帰る。それは、ある生き物の卵だった。卵から出てきたのはアンガスがいままで見たことのない生き物。気分が沈みがちなアンガスとは対照的に、この生まれたばかりの生き物はやんちゃで野性味あふれ、でも、卵からかえったばかりの赤ちゃんなので、少年が助けてやらないとどうにもならない。
アンガスは生き物にクルーソーという名前をつけ、世話をしはじめる。
そのころ、軍隊は、海とつながっているネス湖にドイツの潜水艦を追い込んで撃沈しようという計画を立てていた。少年の住む屋敷を軍隊が宿所にしてしまう。
内にこもりがちだったアンガスが、クルーソーを守るためにだんだん積極的に行動するようになる。
少年の物語なので、子供にわかりやすい作品になっている。
大きくなったので湖に返してやったクルーソーは、少年のことを忘れない。少年を背中に乗せて泳いだり、水中に潜ったりするのだけれど、観てるとほんとアンガス君のことがうらやましくて仕方がない。 湖底の世界には生き物の姿だけではなく、古代の遺跡や沈没した大きな船もあり、過去と現在がつながっている、深い場所、そこをクルーソーは悠々と泳ぐ、背中に乗せた少年のために時々いきおいよく水面に飛び出して息をさせることも忘れずに。
また、イギリスの大きな古いお屋敷の光景もいい。家の中にあるいろいろなものが、少年の目線、またクルーソーの目線で飛び込んでくる。様々な彫像、古い道具、動物の剥製、ぬいぐるみやこわれたお人形、そして本棚に並ぶたくさんの本。
この物語は、老人が第二次世界大戦のころにあった「ほんとうのはなし」を語るという形をとっているのだが、アンガスはクルーソーと出会って成長し、現実を受け入れて生きていけるようになり、その後は一度も "ウォーター・ホース" を見ていない、と結ばれる。うまいと思った。
あのころのアンガスみたいに、海の精霊:ウォーター・ホースが必要になっている人は、いつでも、どこにでも、いるだろう。そのときはこのおはなしを観ればいい、そんな作品になっている。
しかし、最近の特撮はすごいですね。小さいころ夢中になって見ていた恐竜の絵本の世界にすーっと入っていったような気分にしてくれました。大感激です。