「L.A.コンフィデンシャル」は何度見返してもよく出来ているなと感心するのだが、なんというか非常によく出来た時代劇なんだよね。ゴシップ誌の記者による前口上は、日本の時代劇だとかわら版屋がやるのよな。
日本の時代劇にアメリカで相当するのは西部劇になるんだろうが、1997年に製作された50年代を舞台にした犯罪ものもりっぱに時代劇になってるのね。封切り時に観た時は、70年代に30年代を舞台にした映画作るのがハリウッドで流行ってたのを思い出したんだけれども、時代劇再現という点では「L.A.コンフィデンシャル」のほうが徹底しているし、成功もしている。
しかしそうなると、刑事は白人男性だけ、有色人種は犯罪者か被害者で、家庭領域は描かれないので出てくる女は娼婦と職場のアシスタントだけ、ついでにいえば男は全部短髪で、女はフェミニンな格好しているという、そういう物語世界が展開する。日本のチャンバラでの殺陣にあたるのが、アメリカだと拳銃の構え方と撃ち合いの型になるみたいね。
日本でも、ちょんまげにこだわらずに「時代劇」はやれるんじゃないでしょうか。もうやってるのかもしれないけれども、そういえばNHKドラマ「ハゲタカ」はなんとなく演出が時代劇ぽかったかな。