野田首相は盲点になってないか

以下は「森田実の時代を斬る http://moritasouken.com/TEST03-2s.html」からの引用です。

 この春、私は日中首脳会談(野田首相温家宝中国首相)のやりとりを日本側の出席者から聞いた。この話は、すでに本欄で紹介したが、もう一度報告しなければならない。このとき中国の温家宝首相は野田首相にこう聞いた。
 「日本政府はいままで中日両国間の問題を外交ルートで解決する方針だったのではないですか。この方針を、日本政府は変えたのですか?」
 野田首相は沈黙したまま何も答えなかった。そこで温家宝首相は続けた。
 「両国間の問題を外交交渉で解決する方針をやめたとすると、あと残っている手段は軍事的解決だけですが、日本政府はこれからは軍事で対応するということですか?」
 野田首相はこの温家宝首相の質問も無視して、何も語らなかった。
 この首脳会談のやりとりは、日本では報道されなかった。だからほとんどの日本人は、両首脳の間でこんな際どいやりとりがなされたことは知らない。
 しかし中国では、この両首脳のやりとりは広く報道された。中国国民のほとんどは、このやりとりを知っている。そして、日本はこれから中国と軍事力で対決すると、多くの中国人は思っている。野田首相の「沈黙」は日本が軍国主義の道を進む意思表示とみられたのである。
 繰り返す。中国側が野田首相の沈黙を「これからは日本は、中国に対して軍事で対抗する」という意思表示として理解したことである。野田首相の沈黙は、「日本は中国と軍事力をもって戦う」と受け取られたのだ。野田首相がどうして沈黙を続けたのかはわからない。本気で戦争をするつもりで、そのような態度をとったかどうか不明であるが、その後の野田首相の言動には中国と協調する姿勢は見られない。対決一点張りである。
 中国政府は、石原慎太郎東京都知事を戦争挑発者とみている。中国と戦争したがっているとみている。野田首相石原都知事と同類だとみている。

http://moritasouken.com/sC1439.HTML

野田首相は、サブカルキャラのまま都知事をやり続ける石原慎太郎や、復古調右翼テイストのある安倍自民党総裁にくらべると、無味無臭な印象しか与えないが、じつは相当なものなのではないだろうか。そして、いま首相という権力の座にあるのは野田なのだ。
民主党支持者には、昔なら社会党を支持していたであろう護憲派や平和志向の方たちも少なくないはずなのだが、この野田首相のことをどう見ているのだろうか。
民主党政権になってから、かつての自民党政権も躊躇してやらなかったいくつかのことが実現されてしまったというのもある。新聞には記事が出ていたけれども小さ目の扱いで、テレビのニュースでも大きく取り上げられなかったので広く物議を醸すこともなかった。
ひょっとしたら野田に反対する人たちは、もう小沢の方へ期待を傾けてしまっていて、民主党に文句をつけることをやめてしまっているのかもしれませんね。
しかし、“改憲”を流行らせたのは小沢一郎なんですよ。もう忘れられてるのかな。