週刊金曜日 麻生晴一郎『草の根にとっての「反日」』

http://www.kinyobi.co.jp/
週刊金曜日2012年9月28日号。特集は「迷走するIMF・世銀と日本」だが、尖閣国有化を発端に反日デモが広がる中国についての記事も載っている。
週刊金曜日で中国の市民社会の変容をを伝えてきた麻生晴一郎が連載「浮躁中国19」として、『草の根にとっての「反日」』と題し今やデモがめずらしくなくなった中国で起こった反日デモとその周辺の様子をルポ。「日本では一貫して反日が過大視されて伝わり、中国に対するイメージは年々悪くなっているように思う」と語る麻生氏は「視野が国家にとどまらない中国の市民社会の担い手たちとの真の草の根交流」が深まることを期待している。
くわしくは週刊金曜日を読んでみてください。
また、森田実は昨今の情勢についてインタビューで、自身が地方講演に行った際に懇親会で出会う人たちの言動から、日本社会の変化を実感し警鐘を鳴らす。中国に対して好戦的な発言をする人が増えてきているのだが

発言の主には、中小企業経営者が多い。不況が長期化して社会の不満が高まると、こうした層が右傾化して戦争支持の先頭に立つ。これは、戦前のパターンと変わりません。
彼らは尖閣問題に火を付けた石原慎太郎東京都知事や、橋下徹大阪市長といった政治家のファンが多い。先日関西で、二人の財界人に会いました。石原、橋下と親しいと本人たちが言っていました。
(引用元:森田実「急速に好戦化する日本社会」 週刊金曜日2012年9月28日号)

その後中国に対して好戦的なことを言う二人に、森田実が「ほんとうにそれでいいのか」と詰め寄ると最後には黙ってしまうそうで、勇ましいことを言っているけど、ほんとうにそうなったらどうなのかまでは考えずに言ってるだけなんだろうなとは思うのだが、そういう発言が何のためらいもなく出てきてしまう、今の日本の風潮はおかしい。森田実は石原や橋下を批判せず妄言を世に広めるマスコミの責任は重いとうったえる。
森田実はネット上でも時評を書き続ける。
森田実の時代を斬る http://moritasouken.com/TEST03-2s.html
これを読むと、安倍さんのキャラが派手に立ちまくるせいで地味に目立たなくなってしまったが、野田首相というのも相当なものだなとわかる。
今週の週刊金曜日だが、元アイドルで現在は精神保健福祉士をしている高部知子のインタビューがよかった。あと、幻冬舎新書AKB48白熱論争」の書評。本気のよしりんはともかく、中森明夫の名前を見ると、80年代にも似たようなことやってたのに、またかよ、みたいな。あのときは大塚英志が嫌味を書いてたけど。
巻末の「金曜日から」では、自殺した映画監督トニー・スコットを追悼する文が読めました。お兄さんのリドリー・スコットは絵作りのクセが強いのでマニアックなファンがつきやすいようですが、トニー・スコットは余計なアクがないすっきりした娯楽作品を撮っていて、私もトニーのほうが好きでしたね。日本でタランティーノの名前で宣伝された映画で素直に好きになれたのは「トゥルー・ロマンス」だけなんですが、これは実質トニー・スコット映画でしょう。ぱっと見ですぐわかる作家性が希薄だったので、映画監督として語られることが少なかったトニー・スコットですが、ファンはさすがによく見ているんですね。映画秘宝あたりががんばって特集するといいよね。