思ったこと

藤圭子の訃報をきっかけにYouTubeで彼女の歌を聴く。子供のころテレビで見た芸能人の一人だが、子供だったので藤圭子の歌のよさ、すごさはわかっていなかった。大人向きの歌を歌っている歌手の一人でしかなかった。リアルタイムでファンになっていたのは全共闘世代の人たちだったのかなと想像できる。
今回、歌を聴いて、すごい歌手だったなとあらためて認識したが、同時に、凄味はあるが毒気がないな、とも思った。
美空ひばりには毒気があった。一部のインテリが美空ひばりを毛嫌いしたのもなんとなくわかる。全共闘世代の大学生からすると、当時の美空ひばりは共感ではなく反発すべき対象だったろうな、とも思う。
しかし、ほんとうに大衆の怨念を宿らせ華に変え爆竹のように炸裂させていたのは、インテリや学生をへきえきさせた美空ひばりのほうではなかったか。
単に歌手としてタイプがちがうだけだと言われればそれまでだが、藤圭子にはインテリに好かれ接近を許す芸能人の弱さを感じる。そして、そこが美空ひばりにはない藤圭子ならではの魅力でもあったのだろう。