ほんとうに秋なのか

台風が過ぎてから、また蒸し暑い日が続いている。真夏の出で立ちで日中外を出歩くと汗ばむ。屋内に返るとつい冷房してしまう。もう九月も終わりに近づいているのに。今年は暑い。猛暑年、なのか。
秋らしくない秋なのだが、中秋の名月はすばらしかったようで、自分では見てないのだけれども、ネット上でいろいろ写真を見られた。
お月見からうさぎを連想し、中村うさぎが入院中なのを思い出す。
そして、中村うさぎといえば、美容整形にはまったり、東電OL殺人事件にこだわったりして、そこから体験記を書いていたが、私には、美容整形といえば姫野カオルコ『整形美女』、東電OL殺人事件に触発されて書かれたといえば桐野夏生『グロテスク』のほうが印象深い作品として記憶に残っている。
小説と体当たりエッセイを同列に並べるのがおかしいのかもしれないが、著者が女性となると、実際に自分で体張って体験した方がえらい、迫力ある、説得力強い、だってだってほんとうにやったんですから「真実」なんです! ということにされてしまいがちなのが、世の中そんなものなんだろうけれども、やっぱり、やっぱり、まだそうなのか、これからもそうなのか、と、とかとんとん気分になってしまって、ほんの少しブルージーになる、秋の夜長です。
イラスト:blue daisy