『世界』2020 January no.928 師岡カリーマ・エルサムニー「魅惑のオクシデンタリズム(上)」

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↑目次に誤記が多かったのですね。中身はだいじょうぶでした。

 

さて、師岡カリーマ・エルサムニーの「すぐそこにある世界 第10回 魅惑のオクシデンリズム(上)」は、次のような書き出しから始まります。

 私は東京に生まれカイロで育ったが、着いた途端にホッとする「我が家」がほかに二ヵ所ある。 ひとつは、前回触れたエストニアの小さなリゾート地、パルヌ。もうひとつが、幼いころから憧れていた国ロシアの首都モスクワだ。

(引用元:『世界』2020 January no.928 師岡カリーマ・エルサムニー「すぐそこにある世界 第10回 魅惑のオクシデンタリズム(上)」p.221)

 著者はあこがれのモスクワを訪れた際立ち寄った歴史博物館で、十世紀初めにヴォルガ川流域にあったヴォルガ・ブルガール国へアッバース朝カリフの使節団の一員として派遣されたアフマド・イブン・ファドゥラーンに因んだ展示を見て、心騒ぐ。彼の記した旅行記は、十世紀には先進国の都であったバグダードから、後進地域へと旅した文明人の目に映った当時の現地の様子がつぶさに描かれているそうで、その旅行記の研究の過程で発掘されものが展示されていたから。イブン・ファドゥラーンの旅行記は、北欧のいわゆるヴァイキングに関する最も古い記録のひとつだそうです。くわしくは『世界』でお読みください。

 モスクワといえば、名前自体がモスクゆかりなのでしょうね、あの代表的な建造物もモスクっぽいというかイスラム文化を感じさせますし。地理的にも陸続きでイスラム文化圏に近いですし、旧ソ連圏内にはイスラム教の人々が今でもいますよね。歴史や地理の勉強をし直したくなるエッセイでした。あと、キリル文字! テレビでロシアゴスキーを観て、うわあ勉強したいなあ、と思いましたが、いまはアラビア語ですね、でも、夢は持って、ちょっとでもかじってみたい、ドストエフスキーとか好きですから。

 外国語の文字といえば、数学ではよくギリシャ文字が出てきますよね。いま『世界』では口絵で「ことわざの惑星」というカラーイラストの連載をしていて、世界各国のことわざを紹介しているんですが、そこにその言語の文字も読み方つきで出ているんですよ。今月はスリランカシンハラ語でした。シンハラ文字、まるっこくてかわいらしい印象、そして、ああ世界中でいろんな文字が使われているんだなあって、どれもこれもかじってみたくなります。でも、そう、いまはアラビア語! アラビア文字はきれいよ! そして、日本語も、漢字は漢字文化圏がありますけど、ひらがなとかカタカナとか、外国人から見ると形状的にどんなかんじなんでしょうね? 音は文字とひとつの音が一対一対応なので、わりと覚えやすい読みやすいと思うんですけど。

 とりとめなくなってきましたが、外国語学習は面白いし楽しいし、インターネットのおかげで自宅にいながら音声も含めて外国語に触れることが容易にできるようになっています。外国語楽習者がどんどん増えればいいな。

 『世界』ですが、新年号から新連載がいろいろ始まっています。新年号から読んでみるといいかも。斎藤貴男ルポ「コンビニ絶望経営」は波紋を呼びそうですね。また、書評コーナーも新設されています。

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WEB世界には、2019年2月号に中村哲医師が寄稿した記事が出ている。

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