『世界』2022年2月号 佐藤親賢「ドストエフスキー生誕200年のロシア - 続く欧米との相克」

 

 

 

 2021年11月11日はドストエフスキーの生誕200年に当たり、プーチンはこの日「ドストエフスキーの家博物館」を訪れ、「ロシアの天才的思想家で愛国者ドストエフスキーの記録保存に尽力したみなさん、ありがとう」と記帳したそうです。

 プーチンはこれまで演説やあいさつの中で何度かドストエフスキーに言及してきたが、特に好みの作家というわけではない。2021年6月のテレビを通じた国民との対話で、自身に影響を与えた芸術作品を教えてほしいと聞かれた時は、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第一番などとともにトルストイの『戦争と平和』を挙げている。ドストエフスキーについては、小説家というよりその思想的側面、すなわち西欧的リベラリズムに対抗するスラブ主義、「土壌主義」などと呼ばれるロシア民族主義に共感しているようだ。
(引用元:『世界』2022年2月号 p.16 佐藤親賢「ドストエフスキー生誕200年のロシア - 続く欧米との相克」)


 ヘンリー・キッシンジャーが「ドストエフスキーの小説の主人公そのもの」と評するプーチンが、ドストエフスキーの思想のどのような面に共感し、またそんな彼が2014年のクリミア半島編入以来、緊張が続く欧米との関係をどのように見ているのか。
 レーニンに嫌悪され、ソ連時代には1960年代までほぼ発禁状態にあったドストエフスキーが、プーチン政権下では「愛国者ドストエフスキー」として再評価されるに至った。
 政局とは別次元のところで「ロシア史の予言者」ともいえる作家ドストエフスキーの魅力も学芸員が解説しています。

 

『世界』2022年2月号で読んでみてください。