『世界』2022年5月号 佐藤寛「イエメン 作り上げられた空洞国家」

 

 

 2月24日のロシアのウクライナ侵攻以来、日本でもウクライナ支援のための寄付が前代未聞のペースで集まっている。国際NGOで働く友人は「これ以上寄付が増えても使いきれないかもしれない」と危惧するほどである。
 他方で、人道支援に必要な資金が集まらない、と関連機関が繰り返し警鐘を鳴らしている国もある。アラビア半島の南西に位置するイエメンである。

(引用元:『世界』2022年5月号 佐藤寛「イエメン 作り上げられた空洞国家」p18)

 

 2011年の「アラブの春」に端を発したイエメンの混乱は、2015年、首都サナアを実効支配していたホーシー派勢力を追い出そうと「アラブ有志軍」が軍事介入したことで内戦状態に陥った。兵器の質量で劣るホーシー派は、「貧者の飛び道具」ドローンを活用して応戦、状況は悪化するばかりで、大勢の人々が餓死の危機にさらされている。
 この10年で、脆弱国家から破綻国家、失敗国家へ、そして現状「空洞国家」と呼ばれるようになってしまったイエメン。どうしてそうなっていったのか、今何が起こっているのか。
 くわしくは『世界』5月号で読んでみてください。
 
 
 新聞の国際面を見たり、NHKの報道番組を見たりする人なら、冷戦後もずーっと世界各地で紛争状態になっている地域があるのは知っていますよね。私はそういうニュースを見るのが習慣化してるだけなので、見ても「ふーん」という感想を持つくらいなんですが、少なくとも世界が平和だとか戦争がないなんてことは全然ない、という風には思ってて。
 だから、ロシアのウクライナ侵攻がはじまって、日本のマスメディアが色めき立って盛り上がっているのを見て、ずっとアジアアフリカ南米などで取材を続けていた人、そういう地域への支援活動をしてきた人たちが、鼻白む気分をツイートしてたりするのは、気持ちは分かるなと感じて、そういう方たちはウクライナの危機を軽視しているわけではないんですよ、同じような危機をこれまで伝えて来たのに、なんか反応がぜんぜんちがうのね、みたいなのはあるでしょう、それは事実なんだから。
 今回のウクライナ侵攻は、日本も影響を受けそうなのがはっきり見えるんで、日本での反応がほかの事象と異なってくるのも自然なことですが、イエメンやシリアは、新聞でもしばしばくわしい記事が出ておりましたし、もっと関心を持たれてもいいんじゃないかって。一般人が関心持ったところでだからなんだというのはありますが、「アラブ有志軍」に参加しているサウジアラビアは日本とも石油でつながりが深いんじゃないでしょうか? だから、日本、全然関係ないとか、そういうものではないんですね。
 
 
 ところで、イエメンですが、上の『世界』の記事でも説明されていますが、現在も山岳地帯では農業が続けられていて、イエメンはコーヒーの名産地でもあるんですね。日本でもうるさ型のコーヒー飲みには受けがいい模様です。
 

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中東方面についての記事や本を読むと、アラビア語圏だとエジプトは一般の日本人がイメージする国家になっていますが、それ以外の地域は、国境があって政府もあるんだけれども、それ以上にいまの国境線ができる以前から続いている部族などのつながりが強くて、国境線をまたいで行き来している勢力が無視できない、なんか日本人にはイメージしづらい世界が広がっていて、そういうのを知ると、よく日本ではウクライナ侵攻みたいな事変が起こると、国家にこだわるのはよくない国境のない世界を理想として目指さないといけない、みたいなことを言う人がいますけれども、現実に国家がない世界って言うのは今の中東の部族社会みたいになっちゃって、それはそれで今わたしたちがあたりまえのものとして享受している安全安心がない世界なのかもしれないなって思ったりします。

 部族社会になったほうが得するタイプの人って日本人にもいるでしょうね。でも、私自身はそうではないので、自分ってほんと今の日本という国が安定してるおかげで生きながらえさせてもらってるんだなと思うしかない弱者なので、なんでもかんでも日本が悪いとすぐ言う人たちのことは信用できないなというのがあります。おまえが弱いのが悪いと言われればそれまでですけどね。