『世界』2022年7月号

 

 

阿部海太「民話採光 7 薫風になびく魂ふたつ」
 新緑と夏の日差しが溶け合うような明るい色調。もとになっているのは沖縄の昔話「樽の由来」、結婚を反対され心中した男女の思いに村人たちが気づくまでのおはなしです。
 
森さやか「いま、この惑星で起きていること 31 気候ミステリー」
 ナポレオン軍がエジプトで発見した「ロゼッタストーン」の謎解きを皮切りに、気候の変化が引き起こした数々のミステリーを紹介。アメリカ南西部での干ばつにより湖から発見された樽詰め死体、記録的高温が続くインドで空から落ちてくる鳥たち、かつてローマ帝国で愛されたのにいつの間にか姿を消したシルフィウムの謎など。また、タスマニア大学が未来の人たちに向けて現代版「ロゼッタストーン」を建設していることも。
 
北條勝貴「亡所考 最終回 木々の声は聞こえているか」
 神宮外苑地区「公園まちづくり計画」で千本以上の樹木が伐採、移植されるとなったことに市民の反対運動が起きている。ここから、古来日本各地に伝わる大木をみだりに伐採すると祟りがあるという話を紹介し、日本人の木々や森、植物との関わり方を見直す。
 井の頭公園バラバラ殺人事件は迷宮入りしたせいで、一部では被害者宅の庭に長年そびえていたイチョウの巨木を切り倒したためではないかというウワサまで流れました。これは素朴な庶民感情には大樹への畏怖の念が自然に引き継がれているということでしょう。
 
 
今月号から新連載「香港からの通信」言論の自由が急速に失われつつある香港から、ペンネームでの通信が届いています。
 
特集は
・軍拡が平和をもたらすのか
・侵略の代償 - ウクライナ危機と国際社会
 
 
『世界』7月号を読んでみてね!