『戦火の中のオタクたち』晶文社

マンガ:天川まなる
文:條支ヤーセル
監修:青山弘之

目次:
1) シリアに日本アニメ・漫画オタクがいた
2) シリアの最新アニメ事情
3) ネットで交流! シリアと日本のオタクたち
4) 日本に来てオタクに目覚める
5) シリアと日本、表現文化の違い
6) シリア内戦の複雑な事情
7) シリアのオタクコミュニティーアンケートから
8) 戦火の中のオタク活動
9) オタクの愛は海を越える

シリアのオタクたちの日常を伝えるルポマンガ&エッセイ。

漫画家・天川まなるはアラビア語学習者でもあり、在日シリア人やネットでシリアの人々と交流する中で、シリアにも日本のアニメや漫画のファンがいることを知る。シリアに行って「オタク」を自認する日本アニメのファンに会ったり、内戦状態になってからも、ネット上に Syrian Hardcore Otaku というコミュニティを立ち上げオタク活動を続けるシリア人の姿を描く。

内戦がはじまり、ひきこもり生活が続く中、かえってアニメを観るオタクな人たちは増大。アラビア語圏では、日本のアニメ専門の衛星チャンネルが見られるし、いまはインターネットを通じて日本のアニメ最新情報も得られやすくなっているので、シリアのオタクはほぼ日本と同時に最新日本アニメ動向を知っているとか。

このあたり、自分が洋楽少女で、洋楽情報に敏感だった頃のことを思い出して、シリアのオタクたちに共感を覚えたりしました。

アラビア語圏では、昔から「グレンダイザー」「ベルサイユのばら」など日本のアニメは人気があったそうで、本では「グレンダイザー」は受けたのに「ガンダム」はなぜだめだったのか、なども語られています。日本とは異なるアラブ文化圏の事情があるのですね。

オタク事情だけではなく、内戦下のアレッポでの人々の暮らしぶりや、経済制裁のオタク活動への影響、その大枠にあるシリア情勢の解説も読めます。

Syrian Hardcore Otaku は、政治的発言は禁止というルールの下、運営されているとのこと。

くわしくは本を読んでみてください。

 

天川まなるはツイッターもしています。