『世界』2023年10月号 中村隆之「ブラック・ミュージックの魂を求めて 第3回 アメリカスに渡ったアフリカの声と音」

 

アメリカス」という複数形の語は、北米だけでなく中南米も含めたアメリカ大陸全域を指す単語として欧米語で用いられるとのこと。

 奴隷としてアメリカに強制連行されたアフリカ人たちは、自分たちの背景にあったアフリカ文化とは切り離され、奴隷として管理されることになりました。「生きのびることそのものが抵抗だった」という境遇、彼らは生きるために自分たちの文化を紡ぎ出します。

 キリスト教にアフリカ文化を習合させたヴードゥーやサンテリーアなどの信仰には、アフリカ人の世界観や死生観が織り込まれおり、儀式にはアフリカ的要素が見られます。儀式やマルディグラなどの祭りで使われるかぶりものも、アフリカの文化から産まれたもの。釣りの技術は農園で重宝され、逆にドラミングは農園主からは嫌われ禁止されたりもしました。農園主には反乱を想起させるものがあったのですね、ドラミングには。

 ブラックミュージックの礎ともいえるドラミングですが、太鼓がなくても叩く技術さえあればいつでもどこでも可能な、「創意と即興」から発する魂のきらめき。奴隷として連れてこられたアメリカスで、アフリカ人が発展させた「ネオ・アフリカ文化」の核。

 くわしくは『世界』10月号で読んでください。

 オクラもアフリカ原産だそうで、日本ではアメリカ南部料理のガンボに使われるのは知られていますね。南部料理もアフリカ文化が入っているのでしょう。

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著者の中村隆之は専門はフランス語系文学で、フランス語で書かれたカリブ海文学がきっかけでアフリカ文化も研究するようになったとか。

NHKラジオ まいにちフランス語』は10月から後期講座が始まりますが、応用編は新作「フランコフォニーとは何か」で、フランスや欧州だけでなくカリブ海やアフリカなどフランス語を公用語としている地域を広く知ることができる講座になりそうです。

 入門編の中條健志「自己表現のためのフランス語」は、2022年前期の再放送ですが、入門者にぴったり、外国語の勉強の仕方を親切にガイドしてくれる講座です。

 10月から「まいにちフランス語」を始めてみるのもよいかもです。