黄金色のオタマジャクシ

四国新聞2020年7月15日より引用:


黄金色のオタマジャクシ 三豊市の母子 散歩中に発見、飼育

三豊市の田んぼで、体長約3センチの黄金色のオタマジャクシ1匹が見つかった。
(中略)
 四国水族館(宇多津町)の飼育員によると、体の大きさなどからニホンアマガエルのオタマジャクシとみられ、体の色を黒くする遺伝子が欠如し、突然変異で黄色っぽくなったと推定される。生まれつきメラニン色素を持たない「アルビノ」は目の色が赤いのが特徴だが、このオタマジャクシは目が黒くアルビノではない可能性がある。
 飼育員は「こんな色のオタマジャクシは生まれてくること自体珍しい上に、田んぼの中で目立つため外敵に追われやすく、生存率は低くなる」と話した。
 衣里さんは「これからも大切に育てていきたい」と話し、成長して黄金色のカエルになるのを楽しみにしている。

 

こういう話聞くと、おとぎばなし脳が動き出しますね。縁あった親子に福をもってきてくれる神の使いならいいなあと思いました。

 

カリフォルニアでは稀人来たれり的ニュースがありましたね。

natgeo.nikkeibp.co.jp

 

日本でも、家出して斜面に棲みついた子ヤギが出ましたし、そういうタイプの子が遊泳してるのかもしれませんが、青い海に白い姿が映えて、ああこれも神の使いかも、なにかを知らせに来てくれてるのかも、と、絵本的想像力が湧いてきます。

 

昨日、ノートルダム大聖堂火災のドキュメンタリーを観たのですが、あれ去年の4月だったんですね。ヨーロッパにとってはあれが何かの前兆だったのかも、という気がしました。これまで続いてきた日常が終わる、ね。

 

たぶん猫も杓子も経済経済言うようになってしまった、そういう「経済」の時代が終わるんじゃないかと思ったりもします。

 「It’s the Economy, Stupid」というの、ビル・クリントン陣営が、父ブッシュを攻撃するのに使った合言葉だったんですが(経済面の"失策"をあげつらうと同時に、父ブッシュは湾岸戦争勝利を実績のひとつにしていたせいがあったのでは……)、語呂がいいせいか、その後もいろんなところで借用されていましたね。村上龍が妙に経済経済言い出して小説のギミックに経済使うようになってたので、流行ったんでしょうね、「経済」。だからもうそういう流行が終わる、ということです。

新型コロナや大雨の影で

火山のニュース多くなってませんか? 方々で火山活動が活発化してる模様。

www3.nhk.or.jp

 

まだ日本列島は生きている! 老いてないぜ! びんびんだぜ! を実感させるニュースではありますが、このご時世ですので不穏なものを感じ取ってしまいます。

コロナ禍による変化 カタールの例

muhammadtakeshi.jp

 

水曜日にリモートで行われた閣僚会議で発表された主な決議は、

1. 全ての店舗の週末(金曜日、土曜日)営業の再開
2. 民間セクターにおけるカタール人の雇用率を60%へ引き上げ
3. 退職及び年金の対象となるカタール人人材を80%へ引き上げ

 

お隣のクウェートでは石油エネルギー関連セクターは外国人を禁止にしたようですし、国内にいる外国人の人口も現在の3割程度にまで減らす意向も。生き残れるのは、やはり”ローカルには出来ない”高度な技術と経験を求められる職業か、そうでなければ”ローカルがやりたがらない”キツくて待遇も良いとは言えない仕事か、そのいずれかが外国人がここで生き残るための最後の砦かもしれません。

 

他国から人が入ってくるのを制限したいのは、コロナ禍の下ではどの国も同じでしょうから、どこも似たような状況になっていそう。観光業も、新型コロナウィルスのリスクを計りつつの営業がしばらく続きそうですね。

 

新型コロナウィルスですが、記事を読んだりしてエイズのことを思い出します。感染しても無症状の人が気づかず他の人にうつしてしまう、発症した場合、風邪やインフルエンザにくらべて症状が多様なところ、とか。エイズは70年代にいっとき花火のようにきらめいたアメリカのゲイクラブで広がり、女のいないユーフォリアをあの時代ごと葬り去りましたが、あの出来事が今日の雛型だったのかなあ、とか。

HIVは感染力が弱かったので、感染するような行為を避けることは容易でしたが、新型コロナウィルスは感染力が強いのですよね。ウィルスが一部エリート向けから大衆向けになったみたいな、コカインがクラックに、ヘロインがオピオイドになったみたいな、そんなイメージも湧いてきたり。

 

エイズといえば、「理解しやすく、役立つエイズのブログ-血液の鉄人のささやき-」というブログが一般人向けにずっと日本のエイズ事情の解説を書いてくれていますが、新型コロナウィルスについての情報も出ています。

tetsujinsan.blog8.fc2.com

 

うっかりネットでツイッターとか見ちゃうと、新型コロナウィルスについても思いついたことをいろんな人がつぶやいているので、混乱しますね。ネット瘴気を感じる。だから、もうネットでは、政府広報とか、All Aboutとか、上の「血液の鉄人」のブログとかしか見ないようにしようと思う。

 

前にも新聞だけ読もう、と自分で書いた記憶があるんだけど、ネット見るときはついニュースネタも追ってしまうんで、それを抑えよう、自戒をこめて、また書いた。

 

『世界』8月号「メディア批評」でNHK「これでわかった! 世界のいま」のBLM解説アニメが取り上げられているのだが

読んだ印象では、評者は”問題のアニメ”だけをネットで見ただけのようなので、番組を視聴した者としての感想を書いておく。

 当日の番組ではBLMを取り上げ、まず発端となったジョージ・フロイドさんが警官に取り押さえられた際に喉を膝で強く押さえつけられたせいで死亡した事件を取り上げた。その過度な暴力性を疑問視し、じつはアメリカでは、警官に殺される黒人の例が、白人に比べると多いんです、というアメリカの事情の説明があった。他の場面でも、白人にくらべると黒人は不利な扱いを受けることが多いんです、とも。このあたりは進行役とちりこさんの対話でわかりやすくなされた。そして、なぜそうなるのか、そのアメリカの社会構造の絵解きとして、あのアニメが用いられたのだ。『世界』8月号でも藤永康政「ブラック・ライヴズ・マター蜂起の可能性」という、BLM が起こったアメリカの社会構造を解説した記事が出ているけれども、それと同じような説明をざっくりとわかりやすく示したのが、あのアニメだった。「これでわかった! 世界のいま」の前身が、「子どもニュース」だったことを思い出してほしい。学習マンガで歴史を描くときに子どもに大枠をつかまえさせるためにする表現、あの流れでアニメは作られている。アニメの質感もあわせて、あれはよくできていた。大人、特にインテリな方たちからすればざっくりし過ぎているだろうけれども、「BLM って何?」な人に対しては、死亡事件がきっかけで抗議デモが起きた背景をつかませるには十分有効だし、何よりアメリカにそういう社会問題がある、と伝えられただけでも有意義だった、そう私は思っている。

 ネットで炎上したからとはいえ、天下のNHKならいくらでも自分たちの考えをネットだけでなくテレビでも発信できるわけだし、そのNHKが非を認めて謝罪し、検証番組まで放送した後で、こういうことを言うのも野暮かもしれないが、あのアニメがネットで炎上した過程は、番組のことを何も知らない人がネットで見て自分がぽこんと思ったことをツイートして、それがお気持ち連につながっていったという流れで、一般人ネットユーザーはそれでべつに構いはしないけれど、『世界』の「メディア批評」がそんな流れにそのまま乗ってどうする、と思う。

 

 

BLMに関しては、大企業が次々とBLMのために資金を提供します! と早々に表明してきたのを見て、ああこれ、彼らは自分らが今現在実質奴隷所有者になってる自覚があるから、なんか保険かけてきてるんだろうな、という感想を持ったし、欧州にも波及してベルギーがかつての植民地だった国に謝罪したりしてるのを見ると、これでもう縁切りするってことだな関係終わりだな、新型コロナで移民も制限できるし、みたいなかんじがしてしまう。うがった見方ばかりするのはよくないのは分かっている。ただ、#MeTooもそうだったが、BLMもバブル化して、実はもっと大事な問題があるんだけど、矛先をそこから外させるためのイベント化しているように見えてきているので、『世界』みたいな雑誌はそういうバブルに巻き込まれないで欲しい。

 

『世界』8月号だが、特集2『パンデミック後の中国社会』、連載では師岡カリーマ・エルサムニー「すぐそこにある世界」アラビア語のキラキラネームの話がおもしろい。他も全体に充実しています。読者が増えるといいよね。

 

https://websekai.iwanami.co.jp/

小林信彦『アメリカと戦いながら日本映画を観た』(朝日文庫)は、小林信彦『一少年の観た<聖戦>』(ちくま文庫)の復刊です。

 

アメリカと戦いながら日本映画を観た (朝日文庫)

アメリカと戦いながら日本映画を観た (朝日文庫)

  • 作者:小林 信彦
  • 発売日: 2019/07/05
  • メディア: 文庫
 

 これは、↓ の復刊です。

 

 


 復刊したり文庫化されたりするたびに本の題名を変更するのは小林信彦の"悪癖"ですよね(コアなファンには「そこがいいんじゃない!」と言う人もいるんだろうが、私はそこまで御大フェチではないので、買う側の混乱を増すだけの悪癖にしか見えない)。

 私が持っているのは『一少年の観た<聖戦>』(ちくま文庫)の方。あとがきに、これは東京下町の一人の子どもの戦争の中での成長ドキュメント、とあり、巻末には自分史と世の中の動きを並列させた年表もついている。父親と共に東京のモダニズム文化に親しんだ子供時代から、集団疎開、敗戦、焼け跡からの出発、と、少年小林信彦の目を通した当時の日本が描かれている。
 戦時中に観た映画の鑑賞記が読めるので、映画ファンにはお勧め。定評ある御大の鑑識眼によって当時の映画がどのようであったかが説明されており、また、当時の観客がどのような反応を示したか、映画が戦時下の大衆にどう影響したかも記されている。
 そして、終戦後、大人になった小林信彦が学友らと集った席で、戦争中のことが話題になった際に、「あいつが戦争犯罪人にならないのはおかしいよね」と言われる人物についての解説がある。当時人気のあった雑誌『漫画』(漫画社) で巻頭言を書いていた近藤日出造
 『漫画』については「<大東亜戦争中の大衆文化>をこれほど明瞭に語ってくれる雑誌も珍しい」「近藤日出造という漫画家の言葉ほど大衆を扇動したものはないと思う」と小林は書く。
 近藤日出造のレトリックとはどのようなものだったか?

  1. ジャーナリズム批判
  2. ごますり
  3. インテリ批判
  4. 扇動

(本では、例を挙げつつもっとていねいに分析されています、くわしくは本で読んでみてね)

 この文章の背後に見えかくれするのは、昭和初年、無政府主義に傾倒した彼の過去であり、苦労を知らぬインテリへの嫌悪である。小学校しか出ていない彼は、そこらの転向インテリのように「動かう。たへ忍ばう」とは言わない。あくまでも<駄目な私>のレベルに話をもっていく。昼酒云々の部分など、実にクサいのだが、子供だったぼくは(うまいなあ)と思った。
(引用元:小林信彦『一少年の観た<聖戦>』ちくま文庫

 

 そして敗戦後、近藤は戦時中チャーチルルーズベルトを描いたのと全く同じ筆致で東条英機を描いていて、さすがに小林信彦は「これはないんじゃないか……」と思ったそうだが。
 そのような、戦時中の映画や雑誌文化の様子がよくわかる、そしてそのことから大衆文化というものの性質も見えてくる内容になっています。
 夏になると、テレビで太平洋戦争について特集されますよね。戦争について本をよんで感想文を書けと言われる学生さんもいるんじゃないでしょうか。ぜひ、小林信彦のこの本も読んでみてください、映画や雑誌、いまならアニメが大きいかな、大衆文化とのつきあい方について参考になるのでは。


小林信彦『背中あわせのハート・ブレイク』(新潮文庫)は、青春小説、終戦直後の東京の高校生や若者の様子が描かれていて、当時を知るおもしろさも味わえる佳品なんですが、どうも小林信彦ファンの間でもあんまり人気がないらしい。中高生が読書感想文を書くのに選んでもよい作品です。