変態村

DVDで鑑賞。

  • 2004年 フランス=ベルギー=ルクセンブルク
  • 監督・脚本:ファブリス・ドゥ・ヴェルツ
  • 出演:ローラン・リュカ 、 ジャッキー・ベロワイエ

山中で車が故障、森の中の宿に泊まることになった歌手が恐怖の体験をする。
これは『変態村』、この邦題にひとめぼれしました。最近の洋画、原題を安直にカタカナ読みしただけの手抜き邦題が多すぎます。『変態村』、いいね。超直球、しかも中身とずれてない。かといって中身は変態なだけではない。シャンソンが似合う映画だったりもしてる。
老人ホームを慰問した歌手、孤独な老女や看護師が垣間見せる濃い感情に当惑させられるも無事公演を終え次の目的地に向かう。しかし移動中に車がエンコ、山の中で他の車も通らない。そのとき、逃げたメス犬を探している男に出会う。歌手は地元の者らしいその男に宿まで案内してもらう。
森の奥、客のいない宿。歌手はそこに泊まることになる。宿の主人は元コメディアンで、歌手だった妻に逃げられてから陽気になれなくなりコメディアンは廃業したのだと語る。そして、歌手に、愛の歌を歌ってくれないかと頼む。
宿の近くにある小さな村には男の姿しか見えない。
犬に逃げられてからおかしくなったといわれる男はメス犬を探し続け、歌手はこの宿から逃げられなくなり、宿の主人は村の男たちから狙われはじめる。
70年代のアメリカン・ホラー映画の記憶を呼び起こす場面がちりばめられ、監督のホラーへの愛を感じさせる作品となっている。田舎に迷い込んで意思疎通不能な住人に襲われるというのはアメリカ映画にもよくあるけれど、この作品はフランスだかベルギーだかとにかくフランス語を喋るヨーロッパが舞台で、フランス語のせいなのか、田舎の変なオヤジが出てきてもやはりフランスの心理劇風になるところがおもしろい。
村の小さな酒場でピアノにあわせて男たちがゾンビみたいにひょこひょこ踊る場面がよすぎるが、メイキングによれば監督は『イヴ・モンタンの深夜列車』も意識しており、この場面には『深夜列車』への想いが込められているそうだ。『イヴ・モンタンの深夜列車』、観たことないけど、主人公が旅先で奇妙な町に迷い込む話なのだそう。
特典映像として入っていた短編も、ホラーだけど恋なおはなし。絵の色彩が19世紀のフランスの絵を連想させ、誰の絵だったかといわれれば誰の絵かは思い出せないんだけれど、おフランスな美術の色合い。『変態村』もそう。色がおフランス。なんだかんだいってもすごいところなんだろうな、食べ物はやっぱりおいしそうだし。変態でも鯛。