カラスの鳴いた日

昼間、カラスが群れをなして鳴きながら飛び回りました。
近くの家の庭に柿の木があり、そこへ柿の実を食べにカラスがたくさん集まっていることが度々あったので、またあの柿の木に来ているのかなと思っていました。でも、きょうはいつもとは様子がちがっていました。
群れをなしてそこいらを移動していくのです。場所を移るために飛ぶときに鳴く声が大きく聞こえてきました。群れをなして鳴く声が間をおいて近づいたり遠ざかったりするのです。
外出したときに見た電線にずらっと並んでいる様子はヒッチコックの映画『鳥』を思い出させ、しばらくして家の近くを飛んでいったときには暴走族が部屋の真横を通り過ぎたようなかんじすらしました。
騒々しく自己主張する黒い群れ。何のために騒いでいるのでしょうか。
カラスですが、普段群れて鳴くのは、大抵雨の降る前日の夕方です。その場合は、近くの小山の方からカラスの鳴き声がしばらく響いてきます。人の住む場所からは離れたカラスの住処で、雨を察知したカラスが群れているというかんじがして、騒がしいというよりは、ああ明日は雨かなとぼんやり思うだけなのですね。
それにくらべると今日のカラスは、普段とはちがった何かが起こる前兆なのかなと思わされるところがありました。
カラスにはわかるけれど、人にはわからないこともある。
また、カラスにとっては大事だけれど、人にしてみれば大したことない事というのもあるでしょう。
何が起こるのだろう。鈍い私には、今日はカラスがざわざわしていたなということだけしか気づけなかった一日でした。