『日本の論点』2008年版

図書館に行ったら、『日本の論点』2008年版があったので、ちょっと見てみました。『日本の論点』は年末になると本屋で平積みになってますが、帯に「面接や小論文に最適」という宣伝文句があり、だからなんかそういう必要がある人が毎年一定数いるのかな、私は必要ないけどくらいにしか思ってませんでしたが、「ざるどらにっき」の次の記事で2009年版がすごいことになっていると知り、ちょっと興味を持ったのですね。
『日本の論点』がすごいことになっていた - 猿゛虎゛日記(ざるどらにっき)
2008年版の副題は「またルールが変わった」で、「また変わった」ですから前にも一度変わったことがあるようなんですが、それはそれとして、一つの論点について「私の主張」として意見の異なる二人の小論文と、「議論に勝つ常識」と題された基礎知識の解説、というのが基本。ただし論点によっては主張してるのは一人だけの場合もある。
ぱらぱらと見ただけなんですが、目についたのは、これですかね。

論 点 企業防衛はいかにあるべきか 2008年版

◆私の主張

企業買収に善も悪もない。ハゲタカは正しい株価を示さない会社を狙うのだ
真山仁(作家)
経営は価値の創造。投機目的のファンドに会社を預けるわけには参らない
數土文夫(JFEホールディングス社長)

◆議論に勝つ常識
[買収防衛策についての基礎知識]
[基礎知識]あいつぐ企業防衛――日本市場はどう変わる?

http://www.bitway.ne.jp/bunshun/ronten/sample/year/lst_y08.html

真山仁というのは『ハゲタカ』を書いた小説家ですよ。ホリエモン村上ファンドみたいなのががんがん活動できるほうが、そりゃ真山仁みたいな小説家にとってはうれしいでしょうね。小説、書きやすいから。
対する意見として「投機目的のファンドに会社を預けるわけには参らない」というあまりにもあたりまえで、そのためおもしろくもおかしくもない正論が出ていますが、それにしても、それに対抗するのに小説『ハゲタカ』の作者というのは、いくらなんでもバラエティに寄りすぎてないか。
議論に勝つって、まさかテレビタックルたかじんに出演して言い合いに勝つことを想定してるわけではないだろうに。
2009年版の副題は帯見る限りは「大波乱を生きぬく」。目次を覗けば、勝間和代が「お金を銀行に預けないこと――それがお金が増えるのを実感できる最初」という論文を載せてますね。これ、自分の商売の宣伝なのではないのでしょうか。
ヒューザーの社長さんも本出してたことを思い出します。
日本の論点』だが、セールスポイントはここだろうと思われる。

論文は1本約3000字。コンパクトに論旨がまとめられているため、議論の本質がすばやく理解できます。だから、小論文の執筆やレポートの引用文献として、抜群の威力を発揮します。

http://www.bitway.ne.jp/bunshun/ronten/sample/help/info.html

週刊誌が長い記事の要約というかポイント箇条書きを載せるようになり、それどころか記事自体、短い記事を並べる形に変わってきて久しい。しかも、短い記事には一行要約みたいなのがつく。週刊誌を読むような大人たちの多くも長い文章は読解できなくなっているようで、そのような事態に対応すべく文芸春秋は一年に一冊買えばすむお得なコラム集を出しているのではないだろうか。図書館でいじった感触は全部読みきりの分厚いマンガ雑誌の別冊版に似ていた。