鳥鳴く日

昨日、久しぶりに雨が降った。その余韻か、だんだんあたたかくなってきた日中もまたひんやりした空気に戻っていた。夕方になると山の方からカラスの群れが鳴くのが聞こえる。遠くでざわざわ鳥がうわさばなしをしているようなかんじ。夕方にこれが聞こえると、次の日は雨が降ることが多い。夜になって外気が冷たくなってきた。明日、雨が降るだろうか。降って欲しい。
さて、日記の題が鳥の鳴く日となっているのは、おなじみのカラスの雨うわさのことではなく、昼間、庭から聞こえた鳥の鳴き声がめずらしかったためだ。甲高い調子でギェー、ギョェー、とでもいえばいいのかな、非常にやかましく耳障りな声でしばらく鳴き、窓のすぐ側をばさばさと飛んだりした鳥がいた。外を見て姿を確認まではしなかったのだが、こんな声で鳴く鳥はこれまで近くに来たことがないんじゃないかな、と思った。
なんという鳥なのだろう。
めずらしい鳥の声を聞いたな、それも、ぎょっとするような鳴き声だった、凶兆か、何かを知らせに来たのだとしてもあまりいい知らせではなさそう。
だんだん想像がおとぎばなしの世界に入っていきそうになる。
それで思い出したのだが、去年は動物ニュースが多かった。リュウグウノツカイが何匹も漂着したり、変わった色のいろいろな生き物が見つかったり、これまで出てこなかった場所にクマやイノシシやシカやサルが現れたり。
人間の世界では年が変わったということになっているが、人間ではない生き物は暦には無頓着なまま自然の流れに沿って生きている。去年からの流れはまだまだ続いているということなのか。
どうなろうとそのときどきでばたばたするだけ。それはわかっているのだが、人の世は暗く沈んだ雰囲気に覆われているような気がしている。自分で楽しみやおもしろいものを見つけることはできるのだが、そんな自分も薄闇に包まれているのだなと感じる。
お昼にやってきた鳥の声はめずらしいほどの悪声だったが、こんなものだろうと思った。今年の冬によく似合う鳴き声だったのだ。