鳥が喋る日

朝からくもり空、暗く、風が冷たい一日だった。草木もどこか冷え込んでいるように見えたが、地面に目をやると春の花々が咲いている。
午後4時過ぎ頃、窓の外から鳥の声が聞こえる。これまで聞いたことのない鳴き声、何の鳥なのか、気になる。まるで鳥が喋っているように聴こえてくる。ぴより? ぴるるるりりろ、ぴろりろ。ぴるるるるりりりりゃりろ、ぴよろろ、ぴぴぴっぴりり。ぴる? ぴよょょりぃ。こんなかんじですかね。聴いていると、小さな鳥が二羽顔を合わせて、噂話をしているおとぎばなしの一場面が頭に浮かんでくる。自分が絵本の世界にいるような気分、楽しいようなこわいような想像が広がっていく。
ああ、こんなとき側に、ドリトル先生がいてくれたら。
鳥鳴く日」のときに聞いた鳴き声はあまりにも凶々しくて、どんな鳥なのか外を見てみようという気になれなかったのだが、今日の鳥の声はかわいらしい響きだったので、何鳥なのか調べたいと思い姿を探したが見つけられない。高いところ、屋根の上にでもいたのだろうか。上の方から鳥がおしゃべりしているのがずっと聴こえてくるのだった。
しかし、声がかわいらしいので私は脳内で見た目もかわいいかんじの小鳥の絵を思い浮かべていたが、実際に屋根の上を覗いたら、真っ黒い太ったカラスが二羽どっしりと座っていたりしたのかもしれないな。それはそれでメルヘンだが。
しばらくすると、鳥の声はいつもの鳴き声に変わった。鳥のさえずりとしかいいようのない声になった。おとぎばなしの世界は遠ざかっていった。
空はあいかわらずくもって暗い。