パッセンジャー57

DVDで鑑賞。
テロ対策のプロが乗った飛行機がハイジャックされる。
カッター(スナイプス)は、テロ対策の専門家だったが、妻の死後、一線を退いて航空会社の警備講師をしていた。しかしカッターの有能さを知る人の勧めで、航空テロ対策の職に就くことが決まり、ロサンゼルスへ行くことになる。
カッターが乗ったロサンゼルス行きの飛行機には、FBIに護送されるテロリスト(ペイン)も乗り合わせていた。カッターがトイレにたっていた時、飛行機に入り込んでいたテロリストの仲間が立ち上がり、機内を制圧してしまう。トイレの中で事態に気がついたカッターは、なんとか地上と連絡を取り、飛行機をルイジアナの田舎町の小空港に着陸させるよう仕向けるものの、テロリストによって機外に叩き出されてしまう。
人質になった乗客を救い出し、テロリストを逮捕するために、カッターは動き続ける。
スタンリー・クラークの音楽に乗って流れるタイトル、中高年なら子どものころテレビで見た昔のアクション映画を思い出すのではないだろうか。中肉のアメリカ娯楽映画の楽しさが期待できるはじまりだ。
冒頭、ペイン演じるテロリストが、整形手術を施そうとする医師に向かってもったいをつけて「麻酔はいらない」というあたりのきまり具合がとっても劇画的。このノリが映画全体間延びせず保たれ、このノリに同調できれば最後まで飽きずに楽しめる。何これ、あほらしい、と思った人は、相性が悪かったとあきらめるしかないだろう。
カッターの現在と過去にあった出来事が手際よく見せられ、そのカッターが飛行機に乗り込むことになるのだが、航空テロについて仕事仲間と話し合う際に、「テロがないのはイスラエル航空だけだ」という台詞が出てくる。イスラエルはテロリストを乗せないからだというのだが、そういえば、聞かないね、イスラエル航空ハイジャック。
テロリストの仲間がどうやって飛行機内に入り込んだかなどめんどくさい説明は省かれている。カッターの乗った飛行機がハイジャックされたところからおはなしはすすんでいく。アクションで場面がつながっていくのだが、活劇の展開としてはつじつまもあっており、飛行機、田舎の小さな空港、遊園地など、舞台を活かしたアクションが見られ、アメリカのアクション映画の先人の知恵に支えられたインテリジェンスを感じさせる仕上がりになっていた。
登場人物が歩きながら会話する場面、役者の顔をとらえるタイミング、それらがうまくかみ合って、緊迫した状況の中でのドラマを伝える。画面に映る若い女性にB級モデル風のべっぴんさんが妙に多いのも、劇画的でいい。時間も84分で、ひとときアクションを楽しむのにはちょうどいい仕上がりでした。
ウェズリー・スナイプスがいいのはもちろんだが、友人役のトム・サイズモアもいいぞ。