パニック・ルーム

DVDで鑑賞。
母娘二人が引っ越してきたばかりの屋敷に、三人組の強盗が侵入する。
メグ・アルトマン(ジョディ・フォスター)は離婚したばかりで、娘と二人で住む新居を探していた。ちょうどマンハッタンの屋敷が売りに出ており、それを買う。新居の四階には危険時に避難できるパニック・ルームがついていた。
引っ越したばかりの夜、三人の男がその屋敷に侵入する。メグは娘を連れてパニック・ルームに逃げ込むが、男たちに気づかれる。まだ空き家だと思ってやってきた男たちも目算が狂い、パニック・ルームの中になんとしてでも入ろうと動き出す。
メグは警察に連絡しようとするが、運悪く、パニック・ルームの中の電話はまだ接続されていなかった。……
密室化された屋敷の中で、母と娘が悪党三人に脅かされるサスペンス・スリラー。はじめに、家を買うメグが、不動産屋に案内されて屋敷の説明を受ける。そこで屋敷の間取りがどうなっているか見せられる。パニック・ルーム内の設備のあらましもわかる。その後、この屋敷内を舞台に、悪党と主人公の戦いが展開するのだが、建物の内部を構造がわかるように映し出すカメラの動きがすばらしい。ちょっとすばらしすぎて嫌味なところもあるが、テンポが速い殺伐感のあるスリラーだからそれが気にならない。おはなし自体も上手く出来ており、ラストまでどきどきしながら見られた。
ニューヨークの女だけの住居に三人組の悪党がやってくる、といえば、オードリー・ヘップバーンの「暗くなるまで待って」を思い出すが、この映画のクライマックスでは、「暗くなるまで待って」へのオマージュとも受け取れる場面もあり、全体にヒッチコックのエコーも感じた。過去のサスペンス映画から学んだ技法を活かして、今様に仕立て上げた作品になっている。
おもしろかったけれども、もう一度観たいとは思わないのは、全体に暗い絵が続くせいだろうか。「暗くなるまで待って」は、舞台劇がもとだけあって、この映画にくらべるといかにもお芝居な世界でおはなしの作りも昔風なんだけど、何度観ても楽しめるのに。しかし、今はもうあれはやれませんね。たぶん昔の映画だとわかって観てるから楽しめるんだろうとも思えるし。