ゼイリブ

DVDで鑑賞。
異星人が地球を乗っ取ろうとしていることに気づいた男がそれを阻止しようとする。
ネイダ(ロディ・パイパー)は職を求めて田舎から都会へ出てきた。建築現場の仕事にありつき、そこで出会ったフランク(キース・デイヴィッド)にホームレスが暮らすテント村に案内してもらう。テント村の側には教会があり、食事が配給され、テレビを見ている人もいた。テレビには時々海賊放送らしき電波が紛れ込む。
ネイダはテント村の側の教会が気になる。朝の4時から聖歌隊が合唱していたり、なにか不自然だ。時折混じる海賊放送で言っていることとまったく同じことを公園で説教していた牧師が出入りしている。教会の上にはよくヘリコプターが飛んで来る。
しかし、テント村が警察に急襲され、教会にいた人たちは逮捕されていく。ネイダは教会の中に残された大量のサングラスを発見。それをかけると周囲の風景が一変した。ネイダは、気がついてしまったのだ。異星人が地球を乗っ取ろうとしていることに。
冒頭、スピードを落とした貨物列車が過ぎ去ると線路の向こうにロディ・パイパーが立っている。アメリカの田舎風のジーンズ姿で長髪のロディ・パイパーが歩いていく。舞台はゴミゴミした都会だが、流れる音楽は西部劇風。この映画、下敷きになっているのは西部劇、そこにSFと、戦争映画的な銃撃戦も加味されている。
主人公ネイダを演じたのはプロレスラー、ロディ・パイパー。飛んでも殴りかかっても転んでも絵になる肉体が素敵。フランクと延々殴り合いになるシーンでは、プロレス技も見せてくれ、うつくしすぎる絡みが続き、「ありがとう…」とつぶやきたくなってしまった。ロディ、いい、よすぎる、最高!
おはなしは、今風に言うなら、ネオリベ星人に地球が侵略されていることに気がついた人たちがそれに立ち向かうというもので、主人公も覚醒し、レジスタンスに参加。ネオリベ星人は地球人を洗脳するためにテレビ放送や広告を活用しており、ネイダらはテレビ局をまず攻撃しようとする。
エスタン、戦争、SF、プロレスなどを素材に、ジョン・カーペンターが料理した作品として仕上がってて、社会風刺がスパイスになった活劇として楽しめる。
マスメディアからの情報の洪水のせいでほんとうのことが人々に伝わらなくなること、働く人たちを無視して支配階級への配当だけが増えていくなど、いまの世の中にも通じる点がデフォルメされて描かれている。
また、ちょっと見方を変えると、主人公たちのレジスタンス組織も不気味に見えてくる。外見では区別がつかないけれども、実は自分たちとは異なる種族が入り込んでいて、連中がこの世の富を独占し、我々を支配しようとしているって、ユダヤ陰謀説を思い出させるでしょう。ユダヤフリーメーソンイルミナティに変えてもいいんだけど、ネット上ではよくお目にかかる陰謀説ね、あれとだぶって見えたりもする。
娯楽活劇も、SF要素が入り込むと、見ていていろんな方向に想像が飛びやすくなるのかな。