- 作者: 石川結貴
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2011/12/09
- メディア: 新書
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目次は以下の通り。
- 学校から消える子どもたち
- 虐待家庭が見つからない
- 名無しの命
- ネットで出会い、リアルで孤立する親
- 我が子は無縁にならないか
大人たちの無縁社会は、テレビでも特集が組まれるなどして問題化しているけれども、その大人の影で、声が聞かれることもないままになっている子どもたちの無縁化。非力な子どもたちにとって、それはより苛酷な状況となってしまう。
ここでも、貧困がひとつの大きな要因としてでてくる。第一章でNPO法人教育研究所の牟田武生所長が語る。
「不登校の陰に、貧困問題や親の資質の変化があるのです。親が生活するのに手一杯だったり、教育への関心が低い層が確実に増えている。家庭の中に、勉強して何になるんだというあきらめの空気が強くなり、結果的に子どもも意欲をなくして不登校になりやすい。しかも、一旦学校との縁が切れたら、貧困層ではその状態がずっとつづく傾向があります。読み書き計算もろくにできないまま、おとなになってしまう子どもも少なくありません」
(引用元:石川結貴『子どもの無縁社会』中公新書ラクレ407 p65)
派遣や非正規など、短期間で職場が変わる人が増えたことで、親自身が無縁状態のまま、急な転居で住民登録ができないなど、旧来のシステムではうまく対応しきれない面がでてきているのではないかとの指摘も。
子どもを取り巻く大人たちの事情は、ここに至るまでの世の中の流れを思い出せば「これがあなたの望んだ世界よ」といいたくなりもするが、そこに巻き込まれる子どもたちのことはもっと考えられなくてはならない。全部親の自己責任で、読み書きも習えない子どもが放置されていいとはさすがにいえないだろう。
民主党はやたらと英国に視察に行きたがる政党だったが、日本社会はたしかに悪い面だけは英国の後を追っているのかもしれないな。そんなことを思った。