村上龍「オールド・テロリスト 第十八回」文藝春秋2012年11月号

関口は、謎のテロ組織に立ち向かうため、助っ人になりそうな人物として、記者時代によく通った喫茶店のマスターから聞いたイラン人とのハーフの格闘家のことを思い出す。彼に出会うべく、マスターに取り次いでもらい、相手の指示に従ってカツラギと共に南青山の高層マンションに出向いた。そこは裕福そうな中年女性たちと彼女たちにつきしたがうようにふるまう様々な年齢容姿の男たちがいる場所だった。何をするところなのかよくわからない関口。そんな彼をじっと見つめる子供のように背丈の低いムキムキマンが部屋の隅にいる。……
いよいよ仲間集めがはじまった。魔界水滸伝みたいになってきた。くたびれた中年男の関口は、めんどうなことに巻き込まれてしまったという疲労感につきまとわれているが、唯一のなぐさめはカツラギさんがだんだん美人に見えてきたことだろうか。はじめは長身でスタイルはいいけどミョーな女だったのだが、関口のことを信頼するようになってから態度も変わってきている。さてどうなるか。次回が楽しみ。