村上龍「オールド・テロリスト」第三十七回 文藝春秋2014年7月号

内閣府で西木副大臣らと面談し、関口とカツラギは西木らのキニシスギオ対策に協力させられることになった。疲れて帰宅した二人は、他にどうしようもなかったにしろ結果的にミツイシらを権力に売り渡してしまったことに落ち込む。悩み苦しみ悶々として過ごす二人。そこへ、ミツイシから電話がかかってきた。……
今回は西木側に協力することになった関口とカツラギの割り切れない気持ちが描かれていました。二人とも、テロはひどい、止めさせないといけない、と思いつつ、どこかでミツイシらに共感する部分を持っているのですね。共感が言い過ぎなら、時として引かれる、なるほどと思うこともある、ということになるでしょうか。
カツラギさんの漏らした感想から、たしかに芸能人と政治家は顔が命というか、顔がぱっと覚えられる人が大成するよなあと思いました。でも、考えてみると、芸能界も政界も表舞台に立つ人たちだけで成り立っているのではなくて、裏で支える役の人々もいるわけですから、舞台に出てくる人は顔が大事ですが、裏方の役割になるとまたちょっと事情が異なるのかもしれませんね。
この連載、もう三年を超えているのですね。連載開始時は近未来の日本を舞台にした物語だったのですが、単行本が出るころには現世と同時な物語になっているかもしれません。
おはなしはいよいよ大詰めに向かいます。ああ、続きを早く!