元ジュニアアイドルの語りから思ったこと

http://sankei.jp.msn.com/life/news/131003/edc13100309550004-n1.htm
上の記事で取材を受けた元ジュニアアイドルが、ジュニアアイドル時代の経験をふりかえって語っているのを読んで、昔AV女優として大人気だった小林ひとみがインタビューで、AVに出たきっかけは、それまでいくつかこなしたイメージビデオの撮影だと思って現場に行ったらAVだった、予想外だったがその場で考えて出ることに決めたと話していたのを思い出した。
中村淳彦『職業としてのAV女優』(幻冬舎新書)では、現在はAVがどんなものか女性もわかった上で志願してAV女優になるのがほとんどだということだが、小林ひとみが出演していた頃はまだAV業界の草創期だったので、なんだかわからないまま(インタビュー読んだ限りではだますといってもいい雰囲気で撮影現場へ誘導されていったように受け取れた)出てしまう、ということもあったのではないだろうか。『職業としてのAV女優』の中で、AV草創期から男優として活躍していた太賀麻郎から当時の苦労話を聞きだしていたけれども、そこでは、スカウトした女性を2時間ドラマに出演させてあげると口説いて撮影現場に連れて行き、AVだとわかっていやがる女性を男優である太賀が必至で説得して撮影にこぎつける、ということがよくあったそうで、大変だったんだろうけれども、これだって女性にしてみればだまされたのとかわらない事態だったのではないだろうか。
そして、こういう話はAV業界だけではなくて、芸能界でもあるんだよなと、細川ふみえがデビュー当時、自分がまったく知らないところで売り出し方が決められて、撮影に行くとすごく小さなビキニが用意されていて困惑した、と語っていたことを思い出したり。ま、芸能人の語りをそのまま真に受けていいのか、というのがあるのだけれども、日本のポルノ女優第一号・池玲子も、デビュー時点で宣伝に使われている「ポルノ」という言葉の意味を知らず、映画会社の社長に「ポルノって何ですか?」とたずねたというし。
あと、シングルマザーが生活のために子供をモデルに売り込むというのは、有名例ではブルック・シールズやチューズデイ・ウェルドがそうで、ブルック・シールズは子供時代に撮られたヌード写真について後年言い訳をしていたし、チューズデイ・ウェルドは幼い頃から学校へもろくに行けないまま過労で倒れるほど働かされたことで母親を憎み、成人して絶縁したと語っていた。
なんだか過去に読んだ芸能ゴシップをつらつらと思い出してしまうのだが、そういうことで、件の記事で元ジュニアアイドルが語っていたことも、いかにもありそうだな、という感想を持ったんですね。
彼女が現在も「元ジュニアアイドル」として活動していて、AVにも出ているから、あの記事の取材に応じたのも売名のためだろうというコメントをいくつか見かけましたが、ジュニアアイドル時代の体験談は、単に過去を振り返って当時のことを語っているということで、ウソだと決めつけることはできないのでは。大人にいいくるめられて撮影現場に行ってみたら想像していたのとちがっていた、撮影中は言われるままにポーズをとっただけなのだけれども、その後写真や映像がエロ物件として消費されているのを知って困惑した、とか、あってもおかしくないようなことしか言っていないわけだし。
林ひとみは大人だったから、状況がわかった上で、自分でこの仕事をしようと決めることができたけれども、まだ十代半ばくらいのジュニアアイドルは、状況もわからず、そこまで自分が持てる状態ではなかった。そういう話なのではないでしょうか。