村上龍「オールド・テロリスト」第三十一回 文藝春秋2014年1月号

「あなたは選ばれたのです」「歴史を記録してもらいたい」ミツイシにそう言われ、関口は自分が利用されようとしているなと意識しつつ、しかし久しぶりにジャーナリストとして取材することになった。関口は、聞き出す。「何故、私が選ばれたんですか?」……
なんだか新興宗教の勧誘みたいだな、と思いつつ、同時に自分の中に彼らの言葉にくすぐられるものがある。疑念と警戒と共感と、揺れ動く関口の内面が読みどころ。
ミツイシが言うマスコミ批判は、わりと多くに共有されている不満だろうし、関口もついそこにはうなずいてしまうのだが、老人たちのとち狂った一面も観察している。また、関口が選ばれた背景には、秘密保護法と東京オリンピックが大きく関係しているのでした。
(物語の舞台は、秘密保護法が施行された後、東京オリンピック開催前、の日本)
ところで、このキニシスギオグループ、重要メンバーの一人である太田さんはもともとさぬきうどんの製麺機製造工場社長で、前回にはグループの一員として働く人の中にサヌキさんと呼ばれる方も出てきており、香川県から何人かエントリーしているようなのです。そのせいか、佳境に入るにつれて、すごくわくわくして♪(ええんかい、それで)
今回のラスト、ついにカリヤが「発射」と合図し、砲声がとどろく。関口は耳を押さえてうずくまる。関口はどうするのか? ああ、早く続きを!