村上龍「オールド・テロリスト」第三十三回 文藝春秋2014年3月号

東京へ戻ってからの関口はぐったりしたままで、カツラギはそんな関口を見守っていた。ミツイシに言われるままキニシスギオ一味の犯行について記事を書いても自分が犯罪者になるわけではない、それはわかっている、しかし、何かがおかしい。関口とカツラギは、元官僚の山方に相談することにした。……
ミツイシたちが記事を世に出せと関口にせっつくのは、自分たちの主張を世に知らせるとか政治的な理由だけではないのかもしれない、ということで、おはなしはいよいよダイ・ハード的に盛り上がってきております。カツラギさんが、関口のそばでいいかんじ、オフビートな和風美女とでもいいますか、クールで自立してるのですね。
ああ、どうなるんだろ、続きが楽しみ。続きを、早く!

ひきこもりは、英語学習の好機!

今回、カツラギがアメリカに電話して英語でてきぱき要件を伝える一場面があります。自分も英語を勉強中ですので、NHK基礎英語で習ったcan-doを思い出しながら、読んでいました。
村上龍の小説を読んでいて、英語学習につながった場面が他にもあったなと思い出しました。『イン・ザ・ミソスープ』では主人公はアメリカ人旅行者を夜の街に案内する役をつとめていましたが、彼は高校1年の教科書に出てくるような英語をとにかくきちんと話すとアメリカ人にはちゃんと伝わる、と言っていて、まず中学の教科書で習う英語をちゃんと使えるようになること、日本人は教科書通りにしゃべるのが無難だということなんだな、と(もちろんこれは村上龍の小説だけがそう言ってるのではないよ)。
『ラブ・アンド・ポップ』では、女子高生を買う一人の男は、自分はたいへん孤独なんだけど、孤独だから外国語学習にはいいんだ、いまスペイン語をやってるんだ、と語る場面があった。劇中ではちょっと気持ち悪いおっさんになっていたのだが、彼の言う外国語学習は孤独なほうが向いている、というのは、一人でいられる時間が長いとその分学習ができる、という意味合いでは単なる事実だと思った。
そこで! いま、ひきこもっている人、ちょっと気分転換もかねてですね、英語の音読と発音練習、はじめてみませんか?
英語の勉強、というより、英語を勉強するための土台作り、です。とにかく、英語がことばとして自然に聞き取れるようになるための耳作りです。
英語学習は、耳から。そして、それを実践するのは、じつは学校に行っていない、これまで学校ではあまり熱心に英語を勉強していない人の方が有利なのですよ。(中学高校で熱心に英語を勉強した人は、かえって学校の試験で点を取るための勉強で変なクセがついている)
意味はわからなくていい、ぜったいに和訳しない、英和辞典は使わない! ひきこもってるならそれで問題なし、ただ、ひたすら、一定時間同じ英語テープを毎日聴き、発音練習を繰り返す。週に一回は英語なしの日を作る。
そういう練習を、2年くらい続けると、英語が聞き取れるようになり、聞き取れるようになると、そこから普通に英語の勉強が進んでいくでしょう。
私の英語の勉強に役立った本はこちら。(http://d.hatena.ne.jp/nessko/20131028/p1)とっかかりやすいのは、國宏政雄(編)『英会話・ぜったい・音読 入門編』 (講談社パワー・イングリッシュ)かな。
あと、『英語はぜったい勉強するな!』も参考になるかもしれない、ここでの勉強法の第一ステップは、20分くらい横に寝そべったままただ英語のテープを聴く、同じテープを毎日聴く、週に一回はそれをお休みする、だから。
自分が勉強してみて、日本人にとっていちばん大変なのは、英語が聴き取れるようになるまで音読と発音練習を繰り返さなければならないことで、それには最低でも2〜3年はかかるだろう、ということ。なまじすぐ英文を目でとらえて、和訳してわかったようになっていては、聞き取れるようになるのが遅れるだけなのです。というわけで、学校にいかずにひきこもっている状態は、英語学習の好機といってもいいのかもしれないな、と。
だから、ひきこもってる人、ちょっと気分転換のつもりで、ためしてみてください。三か月くらい、音読と発音練習すると、英語がちがって聞こえてくるよ。