『世界』no.876 黒木英充「シリア内線の力学――出口はどこにあるのか」

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めまぐるしく変貌するシリア内戦の様相。著者は多様な因子が反応し合い動的に変化し続ける中東社会を万華鏡にたとえ、ここに至るまでのシリア内戦の展開を整理し、情勢を動かす合力をもたらす背景要因の多層構造を解説しています。
詳しくは『世界』no.876 を読んでください。
ここでは小見出しの紹介を。

  1. シリア内戦の展開過程
    1. アサド政権への抗議運動と内戦化 2011.03-2012.06
    2. 内戦の深化と反体制派の曲折 2012.06-2013.06
    3. 化学兵器問題とその余波 2013.06-2014.06
    4. イスラム国」問題の前面化 2014.06-2015.09
    5. 難民問題の前面化とロシアの本格的介入 2015.09-
  2. シリア内戦の多層構造
    • 最深の層――都市・農村問題と人口移動
    • 下から二番目の層――宗派問題と政治的イスラム
    • 下から三番目の層――国際的介入の伝統
    • 表面直下の層――難民問題と国外ネットワーク
  3. おわりに

関与・介入する主体が多岐にわたり、大国のメンツが絡み、武器・兵器の売買をはじめ新たなビジネスも独自の起動で回転している。戦争は現場の判断だけでは止めるに止められないものになっているのだ。
(中略)
ここは歯を食いしばって戦闘の終結を待ちながら、多数のシリア人留学生を受け入れるなどして、再建を担える人材の育成に貢献するしかないであろう。
(引用元:『世界』no.876 p.232 黒木英充「シリア内線の力学――出口はどこにあるのか」)

『世界』no.875 アニエス・シナイ「気候変動が紛争を増大させる」

ル・モンド・ディプロマティックより。気候変動による干ばつで農業や牧畜が打撃をこうむったことが紛争を引き起こすひとつの要因になっている、という指摘。
シリア情勢にも絡む興味深い記事です。