- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2016/02/08
- メディア: 雑誌
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- 工藤律子「メキシコ・失踪者三万人の真実」
- 『世界』no.879 (2016.03)
メキシコでデモに参加しようとバスで出かけた学生43人が失踪した事件は日本でもニュースで大きく取り上げられていました。その背景にメキシコの麻薬戦争があることは伝えられていますが、事件のその後の経緯はよく見えないままです。
この記事では、メキシコでなぜあのような事件が頻発しているのか、その事情が報告されています。読んでいて目が点になりましたが、警察や司法に頼れない市民たちは失踪した家族の行方を捜すために協力し合い、ひとつの市民運動となって2018年の大統領選挙に向けて連帯していこうとしています。くわしくは『世界』を読んでください。
貧しい地域で換金できるものを作ろうと麻薬栽培をするようになるのはメキシコに限らずよくある話ですし、地下で流通する麻薬は見方によっては最初から国境など無関係の“自由市場”で取引される商品になるのかもしれません。メキシコ産の違法薬物はやっぱりアメリカで消費されているのでしょうか。地理的に近いですしね。困ったことですが、しかし、それだけ先進国の側に需要があるということでもあります。地下世界ではどちらがどちらを搾取しているのかわからなくなるような印象もある。
しかしそのせいで、メキシコは実質無法地帯みたいになっていて、読んでいると、日本はなんだかんだいっても治安は保たれているし、日本の治安を維持しているのはやっぱり日本の男の人たちだし、それは忘れてはいけないだろうな、と、思ってしまいました。