列車に乗った男

GYAO!で視聴。
田舎町に住む男が一人の旅人を家に泊める。
マネスキエ(ジャン・ロシュフォール)は地方の旧家の長男で教員をしながらずっと生まれ育った町で暮らしてきた。母を亡くした後はずっと屋敷で一人暮らし。ある日、立ち寄った薬局で、駅から現れた旅人ミランジョニー・アリディ)と知り合う。観光シーズンではないせいでホテルが閉まっており、マネスキエはミランに自分の家に宿泊しないかと誘うのだが、……。
久しぶりにフランス映画を見て、いいなあ、と思いました。いかにもおぼっちゃん育ちのマネスキエと、訳アリ風のミラン。二人の初老の男が、適度に間を取りながら、でも引かれ合っていく、あの雰囲気。友情というのとも異なる、ある程度まで齢を重ねた者同士だからこその交流ですね。軽妙でとぼけたようで滋味ある会話。詩の暗唱が自然に会話に溶け込むのはフランス語の魅力でしょう。
フランス映画らしいリアリズムで描かれていますが、全体に青味がかった色調で場面が流れる中、つかの間明るい黄色みを帯びた色調になる部分があります。年齢を経た男二人がちょっとこういうのもありかなって、端から見るとどう見えるかは重々承知の上で夢想してしまう、夢と呼ぶと甘くなりすぎる、シャンパンみたいなひととき。
主演の二人がすばらしい。時間も90分くらいで、映画全体がテンポよく間合い良く流れていくので、見ていて疲れません。
フランス映画っていいなあと思った。フランス語、やっぱり素敵よね。