『世界』2022年12月号 参政党やらスピリチュアルやら

 

藤倉善郎「参政党を取り巻く陰謀論
 今年7月の参院選で1議席神谷宗幣)を獲得、得票率3.3%で国政政党となった参政党。
「龍馬プロジェクト」→ ユーチューブチャンネル「政党DIY」→ 参政党。
 7月の参院選で全国デビュー(?)を果たした格好だが、反ワクチン、スピリチュアル、陰謀論レイシズムと「よりによってサブカルチャー的な分野の中で特に厄介なものばかりを一通りカバーしている」と、ネットウォッチャーには以前から注目されていた。
 参政党とはどのような政党なのか、くわしく解説。

 

雨宮純「米国のスピリチュアル」

本稿では、米国のカウンターカルチャーから連なるスピリチュアルの他、近年の匿名掲示板から生まれた魔術的なムーブメントと米国政治の関係について概説する。

(引用元:『世界』2022年12月号 p.114)

 近年米国の選挙関連ニュースを見ると、時々Qアノンとか、QMagaとか出てきて「何?」になることありますが、これまでスピリチュアルや陰謀説に関心がなかった人にもその輪郭がつかめるように、一部で広まる謎タームは何なのかについて整理して分かりやすく解説してくれています。
 以前ならこういうのは宝島ムックの担当だったんでしょうが、日本にも参政党が出て来たり、アメリカではQアノンのせいで米国議事堂襲撃事件が起きたりして、現実の政治勢力となってきてるので、もう隅に置けないということでしょうか。
 『世界』12月号で読んでみてくださいね。

 

関連して思い出した本。

ロバート・J・リフトン『終末と救済の幻想』岩波書店

 

 地下鉄サリンテロを起こしたオウム真理教について調べた本ですが、米国のカルトとの比較も行われていて、そこで雨宮純「米国のスピリチュアルと政治」に出てくるティモシー・マクヴェイをテロに駆り立てた『ターナー日記』の内容がくわしく紹介されています。

 

村上龍『愛と幻想のファシズム講談社文庫

 

 これはエンタメですが、劇中に出てくる政治結社がやってることがオウム真理教がやってたことと似ていると一時話題になりましたね。記憶だけで書きますが、雨宮純「米国のスピリチュアルと政治」読んで思い出したのは、物語の中に出てくるアメリカで情報工学やってる日本人青年が、研究してるとスピリチュアルな発見があって、そのせいで自殺した仲間もいるし、それで自分は今秘密結社に入って犯罪的な儀式やったりしてるんですよ、自分を保つためにね、みたいなことを言ってた。物語ですが、スピリチュアルに惹かれる人の姿のある面をうまくとらえていた場面と記憶してます。