『世界』2022年12月号 「安楽死」について

 

渡邉琢「安楽死は自殺問題の解決なのか」

『世界』2021年8月号に掲載された「トラウマ、死の刻印、安楽死希求」の続編といえる論考。世間一般での「自殺」の語られ方、受け止め方、また自死を選ぶ人がいたという事実に向き合うことを避ける傾向について考察している。自殺に希望の光を見出すほどに孤独に追いやられてしまう人がいる、この現状を少しでもよい方向に変えようとしない限りわたしたちの「未来」にも光は射さない。
 くわしくは『世界』12月号で読んでみてください。

(死んでいった人に思いを寄せることは、歴史を見直すことにつながるので、『世界』12月号に掲載されている鶴見太郎イスラエルが反映する陰で リベラルな国際秩序の非リベラルな参加要件」にもつながってくる)

宮下洋一「「死ぬ権利」とは何か? 欧州「安楽死」事情」
 先ごろ安楽死を選んだジャン・リュック・ゴダールをとば口に、欧州の「安楽死」事情をレポート。こういってはなんですが、さすがホロコーストを産んだ文化圏といいたくなってきたりして。
 安楽死法は、自殺ほう助などの罪に問われないよう医師を守るためのものだというのは、もっと知られていい。

 ゴダールについては、かつて四方田犬彦が『世界』で連載した「映像世界の冒険者たち」の「第7回 強制収容所は描きうるか? ジャン・リュック・ゴダール(前編)」(『世界』2018年11月号)と、「第8回 復活の時に映像は到来する ジャン・リュック・ゴダール(後編)」(『世界』2018年12月号)を読んでおきたい。
 で、この連載が単行本化されたのが『映画の領分』になるんですかね。

 

 


 ゴダールの訃報は、ゴダールの映画が観直されるきっかけになっていいし、いきなりゴダールってもとっつきにくい人には、トリュフォーゴダールを描いたドキュメンタリー「ふたりのヌーヴェルヴァーグ」お勧め。