岡内大三『香川にモスクができるまで』(晶文社)

 

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海外居住体験やバックパックでの旅を通じて異文化に触れてきた著者は、国内外のマイノリティのコミュニティーを取材し記事を書いてきた。自身が英国留学中に体験した人種差別のつらさも覚えている。そんな著者が「香川県でモスクを作ろうとしているインドネシア人がいる」と知らされ、取材、モスクができるまでのルポルタージュを書いた。

 2019年3月、香川県でのモスク建立を目指すフィカル氏のもとへ著者が訪れるところから始まる。フィカル氏はまじめであたたかい人柄で職場や香川県のインドネシア人コミュニティでの信頼が厚い人物。著者の取材を快く受け入れてくれた。そして、著者も併走する形で、モスク建立に動き出す。モスク建立までの過程がスリリングに描かれている。

 そして、地方都市のインドネシア人コミュニティ。技能実習生として働きに来たり、留学したりと様々な人がいるが、彼らにとって集まって礼拝するのはコミュニティを維持するためにとてもたいせつなこと、モスクは互助のハブにもなる。みんな地域の住人として静かに暮らしており、そのため周囲の日本人はその存在をほとんど意識もしていないところがあるのだが、外国人だというので不利益を被ることもある。不動産関係ではそれがよく起こる。著者はその過程をフィカル氏と共に体験していく。

 よい物件が見つかり、そこを手に入れるために寄付を募る。香川県のインドネシア人コミュニティーのメンバーには技能実習生で来日している人も多く、寄付をしてもモスクができるまでに期間を終えて帰国する人もいる。それでも、「モスクができたらみんながしあわせになれるから」と、寄付。香川県内だけではまかなえそうにないとわかると、SNSやYouTubeで発信して日本全国のムスリムに呼びかけ、ついにモスク建立にこぎつける。……

 人口減少と高齢化が進む地方では、移民が増えると地域の活性化につながるのではと期待しているところもあるのですよね。

 ぜひ多くの人に読まれて欲しい本。

 

『世界』2026年4月号には、先の参院選と衆院選で参政党が議席を伸ばしたことに象徴される、排外主義の伸張に関する記事が出ていました。

 

  • 樋口直人、稲葉奈々子、高谷幸「「外国人問題」という虚構」
  • 山下泰幸「イスラモフォビアの新段階」

近年ネット上の一部で「クルド人問題」が浮上していますが、『世界』の記事によれば産経新聞のキャンペーンが大きく影響しており、アクセス数を稼ぎたいユーチューバーなどに利用されているとのこと。騒ぎを作り出しているのはクルド人ではなく、それを「問題」化することで利益を得る勢力。そして、ヘイトスピーチをまき散らす街宣活動をしているのは在〇会の残党だそうです。Xでは、誤情報や悪意に基づくデマが流されている。

 参政党は、この一部ネット上の流行に掉さして、議席を増やしたということでしょうか。

 Xだけ見ていると、こういうことが分からないので、『世界』や上に紹介したルポルタージュも、読んでみてください。