『世界の歴史 26 世界大戦と現代文化の開幕』中央公論社

世界の歴史 (26) 世界大戦と現代文化の開幕

世界の歴史 (26) 世界大戦と現代文化の開幕

第一次世界大戦後のヨーロッパは、対等な国民国家が共存し、民主主義の拡大と国民生活の近代化をはかることを共通の了解として、互いに協力し合って秩序を保とうとする世界になった。国際連盟など対話の場も持たれた。しかし、世界恐慌とともに協力と対話の場は縮小し、一国的解決策が主流となっていく。一国主義の極限としてファシズム国家が現れるが、ファシズムによる模索の道の果てには戦争しか残されていなかった。「戦争は静かに始まった。まるで、雲の向こう側のできごとのようだ」(ドイツのあるジャーナリスト)
ヴェルサイユ・シンドロームに覆われたワイマール共和国でのシュトレーゼマンの孤独な努力を、この本は評価している。

政治信条を最期まで捨てない政治家はたしかに美的感銘を与えるが、それはしばしば無責任なデマゴーグ紙一重であり、現実を踏まえて自己変革を遂げ成長する能力もまた必要である。それを実証し、一見平凡な政策を実行したところが、シュトレーゼマンの傑出した点であった。それだけにかれは絶えず右派から攻撃され、党首であったドイツ国民党内でも最後まで反対勢力の策動に悩まされ、外交は社会民主党の支持に頼らなくてはならなかった。
(引用元:『世界の歴史26』中央公論社

それにしても、ワイマール文化といいロシア・アヴァンギャルドといい、とても魅力的ですね。