サバイバル・オブ・ザ・デッド

  • 2009年、アメリ
  • 原題:Survival of the Dead
  • 監督・脚本:ジョージ・A・ロメロ
  • 出演:アラン・ヴァン・スプラング、ケネス・ウェルシュ、デヴォン・ボスティック、リチャード・フィッツパトリック

DVDで鑑賞。
死者が起き出し生きている人間を襲って食うようになった世界で生き延びようとする人たちを描く。
世界中で死者がよみがえり生きた人間を襲い始めて6日後。死者は増える一方、よみがえった死者を完全に眠らせるには頭部を破壊するしかなかった。警備にあたっていた州兵チームは死者のいない場所を求めてデラウェア州のプラム島へ渡る。しかし、その島でも死者のよみがえりは起きており、死者をどうするかで島内の住民は二派に分かれて対立していた。州兵たちは、死者を眠らせるべきだとする一派に賛同し、行動を共にする。
ゾンビものの設定を基本にした上で西部劇的芝居が展開。ゾンビものであるということを前提に観ている自分としては、そんな私がこうるさいこというのは野暮だよな、しかしそれを知りつつ小言をいいたくなる、そんな映画でした。ロメロのゾンビ映画ということで期待して観たんだけどがっかりだった。
おはなしのつなぎや説明の手際が悪すぎる。ゾンビとの共存を図る人物が出てくるのは、ゾンビものの新展開を予感させる発想なのだがうまく活かせていない。
ロメロやゾンビものならとりあえず観ておきたいという人にしか勧められない作品。
既にひとつのジャンルになってしまったゾンビもの、それらの映画に出てくるゾンビは一般に次のような属性を持っている。

  • 生きているように動く死者
  • 人間を食う
  • ゾンビに噛まれた人はゾンビになってしまう

人みたいだけど人じゃない、人を噛む、噛まれると感染する、というあたり、吸血鬼とよく似ている。上の特性を備えていて吸血鬼ではない場合「ゾンビ」と見なされることになっているようだ。
人みたいだけど人じゃないというのは、SFだと異星人に身体を乗っ取られた者が増えて、主人公が襲われるという話もよくあったな。1950年代が60年代くらいに作られたアメリカのSF映画の場合、そういうおはなしは当時のアカへの恐怖を反映したものなのだといわれたりもするが、人間がなにかに乗っ取られるというのも、伝説やおとぎ話によくある型なんじゃないかな。
また、ゾンビが走るようになって久しいが、人間を見つけると猛スピードで追いかけてきて襲撃するというのは、昔の映画では少数の文明人に襲い掛かる蛮族によくある姿で、ゾンビが走り回りだした後、戦争映画で主人公たちを襲う敵の描き方がゾンビ化してきている。リドリー・スコットブラックホーク・ダウン」の民兵の描き方など、ゾンビ映画の影響が濃く感じられた。
このロメロのゾンビ映画では、ゾンビは走ったりせず、古式ゆかしくのろのろとだるそうに動いていた。私もゾンビはのったりしてるほうが好きです。このあたりはロメロ、老舗の味わいでした。