詐欺師としての木嶋佳苗なんだが

裁判であきらかにされた手口を見る限り、木嶋佳苗は単刀直入な人だな、というのが印象としてあって、むしろ「木嶋佳苗ってこわいわよねぇ〜」と笑顔仮面で言いながら目で周囲の人の表情をうかがってその場に最適な次の台詞を考えることができる、如才ない一般婦人のほうが、詐欺師としてはずっと洗練されているのではないか(笑)と思えてくるほど。
女性とつきあう経験に乏しい男性にしてみれば、木嶋佳苗みたいなほうが、話がしやすい相手になってしまうのかもしれませんね。
男の結婚詐欺師の中には、自分のことをパイロットだと名乗った手前、相手にはそれらしいところも見せようと、電話するときバックにテープに録音してきた空港内の音を流して「いま空港からかけてるんだ♪」と言うなど、小細工を弄して「夢」を演出する一種のサーヴィス精神を発揮した例もあるのだが、木嶋佳苗にはそういうところがないのね。強いて言うなら、あのブログが、彼女の演出空間だったのかもしれないのだけれども、あれも日常を美化して書いているだけだし。
わりとおおざっぱで、めんどくさくなると練炭炊いちゃう、みたいな。
そんなしょーもない理由で連続殺人を犯すなんて、それこそとんでもない、ということにもなるが、しかし、連続殺人犯というのは大体がそんなものだったりはしている。なんであんなことをするのか、フツーの人にはまったく理解できない、あの人はああいうことをするのが好きなんだな、平気なんだな、そういう分かり方しかできないのがほとんどだ。
木嶋佳苗が女なのがめずらしいといえばいえるけれども、男の連続殺人犯はある意味もっとわけわからないまんま破壊力がすごかったりするのだった。