村上龍「オールド・テロリスト」第十七回 文藝春秋2012年10月号

関口、カツラギ、マツノ君の三人チームは、まず呼び寄せた情報分析のプロ・ナガタに、自殺した心療内科医アキヅキについて調べてもらうことにする。ナガタは、それにはアキヅキのクリニックの税理士がもっている申告データや領収書が必要だという。三人は、税理士の事務所からデータを盗み出さなければならないのかと悩むが、関口はふとある人物のことを思い出した。……
いよいよチーム始動。関口はこれから異能の持ち主を仲間に入れて、目標に向かうのだろう。どんなメンバーが集まるのか。落ちこぼれが力を合わせてたたかう冒険ものの雰囲気が出てきたが、主人公の関口が疲れたおじさんのせいかブルージーなノリが漂い、でもそれがちょっといい、そんなかんじでおはなしが続いている。
カツラギは、日常的には役に立たないが、きれいな若い女で、関口も女として魅かれたりしてるのだが、でも若いときとはちがった感覚がわいてきているのを知る。そして、若い男にはこの感じはわからないのかもしれないな、と思ったりする。
そういえばきれいなんだけれども同年代の子には一般受けせず、どちらかというと中年過ぎの男に人気がある女の子、いますよね。
あと、キモリアルな謎の情報屋・ナガタだが、常態キモいんだけれども、アキヅキの死に際について「ダイイング・メッセージなどではないです」と言い切るときの説得力などうならされる場面もある。
急ごしらえの殺風景な事務所を基地に、これから何がはじまるのか。楽しみだ。